あとがき
女の子の輪に入りたかった君へ。大好きな人とおいしいご飯が食べられますように。
■そもそものお話
本作は「みさくらなんこつ語で食レポさせる男の娘っておもしろいかな?」というフラッシュアイデアから始まりました。3話ほど書いたあと、書いたまま放置、いわゆるエタらしていた状態になっていました。誤字が多い旧作をそのままさらしておくのも、続きの話を提供できないのも忍びなかったのですが……。
最近いろいろ心境の変化があり、公募向けよりは、自分が本当に書きたかったものを優先して書こうと考えるようになりました。こうして最後まで書けることができたのは、これもひとえに読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございます。重ねてお礼申し上げます。
■人物紹介
・渕崎夏稀
女装少年。だいたい16歳ぐらい。姉の手にかかり、それから女装慣れして、姉の恋人を意識し出す、少しかわいそうでかわいい子です。
GIDでMtFな人が、どうやって自分の中の正体に気付き、それと対峙し、最終的に自分を認めるようになるのか、そのあたりを知りたいのは私の根源欲求のひとつです。今回は知人の例をつぎはぎしながら作りました。だいたい近しい人に女装させられるところから始まるのが多くて……。どうして女装を止められなくなるのか、それが加速していくのか、というところも、いろいろ実例を交えて入れてみました。
旧作と名前を変えたのは、ひらがなの名前だと読みづらいかなと思って、ふと『魔法少年なつき×らびっツ』を思い出し、そこからお借りしました。文字ははかない感じにしたくて、夏稀としました。
声のイメージは村瀬歩さん。演技の幅が大きすぎる方ですが、『さらざんまい』の矢逆一稀君ぐらいの感じでイメージしてます。さらっと。
・渕崎悠香
お姉さん。夜のお仕事はキャバクラ、とか。セミロングで少し髪を巻いてるイメージです。
立派に生き抜いているように見えて、内に抱えている寂しさを、近しい人の束縛や、誰かで埋め合わせようとするところは、知り合いからもらっています。破綻しますね、ええ。ひとり立ちできなくなっちゃう。
声は本田貴子さん。蒼崎燈子とか虎山泉とか、あのあたりの感じです。低めだけどどこか甘味がある声ですね。最終話の英語のセリフを聞きたい。ぜったいかっこいい。
・松浦さん
下の名前は考えていないけれど、雄一郎とかそんな名前。時間が割と自由なのは、雑誌の編集やってて抜け出しやすいから…としました。実家が太いので、車とかいろいろ持ってます。昔の言葉で言うならエンスーぽい感じですね。イメージ的には『鉄腕バーディー』に出てくるゴメス。声も石塚運昇さんな感じです。おひげちくちくさせながら夏稀君とちゅーしていて欲しい(ただ漏れな性癖)。
・委員長
世間的な正しさの象徴でした。最終的にはラスボス風味になっていただきました。ああいうふうに諭されるように言われるのが、つらくてですね…みたいな。声的には坂本真綾さん的な少し低い女子声のイメージ。
・丸山さん
ギャル。自分を貫く象徴としてのキャラでした。私の知り合いにもギャルや元そうだった人がいて、私自身もそんな彼女達が言う「ギャルの正論」に助られたことがたくさんあります。夏稀くんを助けてあげられる女の人は、やっぱりこういう人かなと思いまして。声的には井口裕香さんとか藤井ゆきよさんみたいな。
・玉川さん
のんびりとているけれどしっかり者で、やんちゃんな丸山さんの良き相棒、として用意しました。声としては南條愛乃さんとか。「もー、まるはー」といつも言ってるイメージです。
・川上くん
なんとなく『おおきく振りかぶって』の田島君のイメージでした。というわけで声も下野紘さんがイメージにあります。私も男性からこんなお願いをされるときがありまして、気にしなくていいのに異性に対してまじめだなあと思う反面、そうかそうかと愛でる気持ちも湧いてきます。
名前の姓のほうは著名な声優の方々からいただきました。
■各話のお店
・第1話 恵比寿のカジュアルフレンチ
「bistro & cafe bar cache cache(カシュカシュ)」がモデルでした。ある日、駅前を歩いていたら店の人が開店を知らせるチラシを配っていて、それを受け取ってなんとなく行ってみたら、なめらかすぎるマッシュポテトにめちゃくちゃ感動しまして。それからのお付き合いでした。すぐに女性客ばっかりになりましたね。いろいろなソファーが置かれていて、今日はどこに座ろうかと楽しかったです。2017年に閉店しました。残念。
・第2話 横浜のパンケーキ
山下公園前の「EggThings」がモデルでした。パンケーキブームの一翼を担うだけはあっておいしかったのですが、最後はちょっと苦しくて……。EggThingsはいくつか店舗がありますが、ここはロケーション的にも素敵でした。現在はビルごと無くなってます……。残念。
注: 改装された横浜マリンタワーの下に店舗が復活しました。わーい!
・第3話 渋谷のフルーツパフェ
「西村」さん! 子供の頃からお世話になってます。パフェおいしいです。千疋屋や高野、リーベルとか、フルーツパーラー大好きな私ですが、マイホームは西村さんです。スクランブル交差点からすぐのところにあります。
・第4話 上野のスイーツビュッフェ
「SWEETS PARADISE」(通称スイパラ)がモデルです。上野のABABというファッションビルの上にあります。他にも店舗があるのですが、なぜかこちらによく行ってました。時間帯間違えると女子高生ばっかりで混んでました。ここで出てくるパスタがなんかこうもっちりしてて大好きです。いまはこちらもありません……。
・第5話 池袋のさつまいもと鶏のドリア
池袋の「CHEESE&DORIA.sweets」がモデルです。実際に男友達から「女の客ばっかりで入りづらいからいっしょに来てくれ」と言われまして。「ほほう。なるほど。これはちょうどいいネタだな……」と思いながらいっしょに行きました。私はドリアとグラタンのためなら、ほいほいついてくような女です(笑)。別の友達から「女がわからん」という相談を受けたことがあり、そちらと合わせてみました。
・第6話 神奈川のサービスエリアにあるフードコート
「足柄SA」がモデルです。私がどうにもダメになったとき、当時付き合っていた人や友達達が深夜でも車を出してくれて、手前の海老名SAや足柄SAまで連れ出してもらっていました。そのあたりの思い出を入れています。夜中でも本当はもうちょっとにぎわってます。トラック運転手の方が多かったです。付属している温泉には、結局行けなかった……。
・第7話 町屋の思い出のシーフードグラタン
京成の高架下にあった「えどや」というお店がモデルです。母の同級生がお店をやってて、元は肉屋さんだったとか。子供の頃、ここでいただいたシーフードドリアの味が、私を変えてしまいました。もう戻れない。本当においしかったです。いまは高架下にたくさんあったお店たちといっしょに、きれいさっぱりなくなりました。
・第8話 放課後のハンバーガーショップ
放課後の「マクド」っていいですよね……。私はどちらかというとミスドかも。学校近くにあるファストフード店は、時間帯によっては、ほんと学生さんばっかりになってにぎやかです。そのあたりの印象を加えました。
・第9話 近くにあるカフェレストラン
代官山「Holy」がモデルです。お店へうかがうと、常にレモネードを飲んでました。ほんとにおいしかった……。桜の季節、中目黒へ友達を招待したけれど、どこもお店が満杯で途方に暮れていたとき、ダメ元でHolyまで行ったら、快く迎えてくれました。友達のひとりがお店のお姉さんへ「ましろはここへ良く来るんですか?」とたずねたら、「ええ、レモネードを良く召し上がってますね」と答えてくれたり。ありがとう。覚えてくれて。桃井かおりぽい雰囲気のお店のお姉さん大好き。こちらのお店も現在は閉店してます……。自由が丘に移転すると言って、みんな私を置いていく……。ああ。
映画のあたりは笹塚「CAMEL」というお店がモデルです。ここも常連でした。試作ケーキを食べさせてもらったり。ワインはもうこのお店でしか飲みませんでした。好みの味のものをぴったり出してくるニクいお店です。お昼の時間から少しずらしていくと、マダムのたまり場になってました。ここも閉店してしまいました……。
私が誕生日祝いを「CAMEL」でしたとき、旦那と喧嘩してしまい、声を出さずに怒ってる旦那と、スクリーンに流れていたローマの休日をふたりでぼんやり見ながら、少しずつ仲直りしてました。いいごはんといいお店があれば、どんな揉め事も解決です。
・最終話 女装しなくても女装めしっ!
箱根は天山湯治郷ですね……。私の逃避場所です。見かけてもそっとしてあげてください。最近終バスが1時間遅くなって助かります。タクシーのあたりは実際に親娘連れの方とあった出来事です。「箱根ならここにもそこにも行ったけど……。結局天山がいちばんね。娘もそうみたい」とか、いろいろ話せて楽しかったです。
これからも面白いものを書いてまいります。ぜひ、よろしくお願いします。
冬寂ましろ
Re: 女装めしっ! スカートを履いてでも食べたいご飯がそこにあるっ! 冬寂ましろ @toujakumasiro
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