洋館の神様に、登場早々ハートを撃ち抜かれちゃいました

貧しいながらも、親子二人で慎ましく暮らしていた柚結。しかし運命は、彼女からそんな囁かな幸せさえも奪ってしまいます。

柚結に襲いかかる一つ目の不幸は、お母さんの死。そしてもうひとつは、引き取られた先で、妖怪の神の花嫁になること。つまり、生贄になるということでした。

さらに、あらぬ罪まで着せられ、生贄になる予定の時よりも早く、家を追い出され雪山に放り出されることに。

こんな苦しい思いをするくらいなら死んだ方がマシかも。他ならぬ柚結自身もそう思いましたが、彼女は死ぬことはありませんでした。
なぜなら、花嫁になるはずだった妖怪の神、陽太が助けてくれたから。

さあ、今まで柚結の悲しい運命を語ってきましたが、切ない気持ちになるのはこれまでです。
この陽太、柚結も読者の心も、すっごく胸キュンさせてくれるのです。

実は、妖怪の神の花嫁というのは、人間たちが一方的に差し出したもの。彼自身はそんなものを望んではいませんでした。
けどそれでも、柚結がもう家に帰れないのなら、表向きは夫婦ということにしてここで暮らさないかと言ってきます。

自分の中で、陽太に初めてキュンとしたのはここから。
自分から夫婦になるのはと提案したのに、彼ったら、嫌だったらいい。やっぱりやめようかと、慌てて言ってくるのです。
もちろんこれは、柚結と夫婦になるのが嫌なわけではなく、むしろ彼女を気づかってのこと。
この気づかいと、ちょっとの自信のなさと、慌てよう。これで、自分の心はガッツリと掴まれました!

作品のオススメレビューだと言うのに、思いっきり個人の趣味丸出しのことを書いてしまってすみません。ですが、自分の中でこのやりとりが、ものすごく心に刺さったのです。

柚結も、そんな陽太の提案を受け入れ、夫婦生活の始まりです。
もちろん二人の中では、『表向きの』というのが頭につく夫婦。ですがこんな素敵な人が側にいて、ときめかないはずがありません。
さらには柚結に関する重大な秘密も明らかになり、夫婦生活は波乱の予感?

しかし、例えどんな波乱が待っていたとしても、この二人なら、甘々で素敵な毎日を送れるはずです!