灰色の文学作品


 待てど暮らせど灰色の現実。
 うんざりするほど繰り返される漠然とした凪の空白期間。
 右手を上下に往復させる、その一瞬の快楽だけが白く染めてくれる。

 そんな俺は人生を変えるフィクションを求め、ソープに向かおうとする――



 何もないのに八方ふさがり。
 白黒はっきりしない、灰色。
 この物語が描きだす「現実」は、目に見えて残酷でも、悲痛でもないのに、突き刺さります。
 また、逃げ込むように半ば機械的にオナニーをした際の「心底しょーもねえ」と自嘲する感じも、生々しかったです。

 ミニマルな自傷小説と言ってもよいかもしれません。