あとがき

 これは那智が高校生のとき、クラスメイトから聞いた話です。

 サトルは仮名ですし、脚色も加えていますが話はさほど誇張しておらず、おおむねこのような内容でした。

 その彼とは特に親しかったわけではありません。

 たまたま修学旅行の班が一緒になり、夜、怪談話でもしようということになって、そのとき彼がぽつりぽつりと打ち明けた話です。

 またそれ以来、付き合いもなく今になっては信憑性を確かめるすべもありません。

 けれど高校時代、彼にはいくつかの奇妙な噂があり、そのどれもが霊とコンタクトでも取れないかぎりはありえないような内容だったと思います。


 さて、いまごろ彼はどこでどのように暮らしているのでしょうか。

 少し気になるところです。



 また大谷池については作中にある通り、愛媛県中予地方においては風光明媚な憩いの地として親しまれていますが、密かに恐怖譚には事欠かない県内有数の心霊スポットとしても知られています。

 一説によるとこのため池を造る際、決壊事故が起こり三百人あまりが犠牲になった。あるいは工事がなかなか進まないという理由で百人の女を人柱にしたという逸話もあります。

 

 もしかすると彼が目撃したのは生き埋めにされたその女性たちの霊だったのかもしれません。

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大谷池 那智 風太郎 @edage1999

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