武者喰らいの孤十郎

山奥の森の中で、洞穴を掘りそこに一人で住む美しい少年がいた。
親はおらず、家もなく、他に頼る村人も周りに居ない。
にも関わらず、少年は食うに困っている様子はなかった。
何故なら、少年はただ山に落ちている果実を拾うだけで食っていけたからだ。
そう、地に落ちて、傷み、腐り、今にも死のうとしている落ち武者という果実を拾うだけで。
偶に腹を痛めることもあったが、それでも少年は十三になるまで生き延びた。

しかし、今度の腹痛は少しばかり長引きそうだった。