森からの告白
パ・ラー・アブラハティ
森からのフクロウ
テレビの砂嵐が目の視界の大半を覆う深夜二時。月明かりとテレビの明かりで部屋の電気代を賄う。
君からの連絡は太陽が昇っていた時から来なくなった。かれこれもう十二時間だろうか。その間ずっとテレビを見ていた。気付いたら人は消えていて、人は砂嵐になっていた。
白黒の砂漠が目の前に広がっていて、携帯は真っ暗の森だ。フクロウが鳴かない森は君からの狼煙が来ないことを知らせている。何度森で焚き火をたいても、フクロウは鳴かない。火が消えかけて、薪をくべる。
砂漠を見るのも疲れた僕は砂嵐を止めてベットの上に転がる。天井のシミを数えて、数分。森からフクロウが一羽鳴く。君からの狼煙だ。
森全体の明かりをつけて、君に狼煙を上げる。直ぐに君からの返事の狼煙が返ってきて、僕も狼煙をまたあげる。
川のせせらぎが聞こえて、僕はトイレに行く。君からの狼煙を一度無視して。
「月が綺麗」
「……それってどういう意味?」
君の狼煙が少しだけ揺めぐ。気持ちの狼煙を曲げて僕は君に伝える。フクロウが何羽も鳴く。静かだった森はいつしかフクロウのカルテットになっていた。
「もしもし?」
「……今のってそういうやつ?」
狼煙からトランシーバーに変わって君との連絡。手段が変わっても、僕の狼煙はまだ消えちゃいない。
「うん。そういうやつ」
「……よろしくお願いします」
僕と君の狼煙は一つになって、トランシーバーの音が乱れて聞こえた。
森からの告白 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482
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