よき家にうまれ、ゆたかな才能をもち、将来を嘱望され。
とんとんと、輝く階段をのぼってゆき。
そのさきにあった、王妃の座。
でも。
ヴェルラクシェは、ことほぎの子。
大きいが故に、ふつうの方法では接することができないほどのちからを持って。方法は、彼女にも、名家であるおうちのだれにも、わからなかった。みつけることが、できなかった。だから、道は、遠ざかった。
だれも、彼女の能力を、信じなかった。
ただひとり。
詐欺師とよばれる、ひとりのおとこを除いては。
ヴェルラクシェの願いは、ひとびとに日々のあたたかさをもたらすこと。
ヴェルラクシェの願いは、世界に、わたしがいたんだという軌跡を残すこと。
ヴェルラクシェの願いは、彼、に。
信じてくれた、たったひとりのおとこに。
名を、呼んでもらうこと。
どうか、どうか。
ヴェルラクシェのはるかな道のり、膨大な幸福のはじまりを、わたしといっしょに見守っていただきたいのです。
魔導士試験に落第したヴェルラクシェは、追い出される形で「詐欺師」の元へと嫁がされる。しかしそれは、彼女が新たな人生を歩み出す、ターニングポイントとなるのだった。
真面目で頑張り屋なヴェルラクシェと、いつも余裕でからかうような言動をとるジオ。この二人の掛け合い、距離の縮まっていく様子が極上です! 時にコミカルに、時に甘く、色っぽさやギャップも織りまぜながらのやり取りに、様々な方向からガッチリ心を掴まれてしまいます! 二人の間に確かな愛情と尊敬が感じられるのも素敵です。
また、ハイファンタジーならではの、その世界独自の文化や風土などがしっかりと描かれています。習わし、国のシステム、伝承……。詰め込みすぎず、説明口調になりすぎず描かれているので、物語が停滞することなく、楽しくスッと入ってきます。異世界のリアリティーを二倍にも三倍にもし、夢中にさせてくれます!
そして、タグにもご注目です。読み始める前に楽し気な雰囲気をかもし出してくれるタグたちは、読んでから改めて見てみると、なるほど。これ以上にこの小説を的確に表すタグはない! 大きく頷いてしまいました。
物語はまだ第一章が完結したところ。続きは嫁セカコンの結果発表後を予定しているそうです。
追いつくなら、今っ!
ぜひぜひたくさんの方に読んでいただきたい作品です!
極寒の土地、魔導国家エミリアでは、魔法の力なくしてはまともに生活していくことができない。
火の魔導爵家に生まれたヴェルラクシェは、三属性の魔法を扱える優秀な娘だったが、ある時からうまく魔法を発動できなくなってしまう。
魔導士の試験に落第してしまった彼女は、王子との婚約を破棄され、かわりに外国出身の一代貴族、パトラス恩爵のもとへ嫁がされる。
だが、この出会いこそがヴェルラクシェの運命を好転させることとなった――
世界観が、すごくすごく良いです!
オリジナルの世界観なのに、わかりやすい。
ワクワクするファンタジー要素が満載なのです。
素直で頑張り屋さんのヴェルラクシェと、スパッとはっきりした性格で頭の柔らかいジオのご夫婦。
失意のヴェルラクシェを自然と支えていくジオは、彼女にとってなくてはならない存在になっていきます。
まさに夫婦で支え合う、すごく素敵な関係性だと感じました!
更新楽しみにしてます♪