夏の風吹き荒れる土壇場で、花火も消え去って静かに笑ってる

失恋した女の心情がよく描けていて、胸に迫る。
別れを切り出されているので、付き合うきっかけは彼からの告白だったのではと想像する。
仏の顔も三度まで。
四回目はぶん殴っていい、という法律はないけど、せめて文庫本を彼に叩きつけて、「違うわいっ」って泣き叫んでいい。
ここまでバカにされて、腹が立たないのかしらん。
我慢強いというか、本人の言葉を借りるなら「可愛げ」がない。

でも、一人でいるときの主人公の彼女は、可愛げがあるように思える。

いざ花火が終わり、静寂に包まれて「ああ、終わったのだ。――私の恋も」と呟いている。
自分では断ち切れないかもしれないから、花火に終わらせてもらおうと心の何処かで思っていたのかもしれない。

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