恋愛でいい思いをしてきた人間が必ずしも、その後も幸せな恋愛をし続けるわけではないということは、旧弊すれば、嫌でも思い知らされる。逆もまた然りで、悔しい恋を味わった少女が、老齢になってもなお、幸せな夫婦生活を送っていることもありうる。
主人公の年齢では、人生にはまだまだ余白があることを知らないし、「今がすべて」という観念に縛られがちである。だからこそ、散った花は灰になると思い悩んでしまうのだ。
これから、さまざまな体験を通して大人になっていけば、逃がした魚は大したことなかったと思い知るだろう。逃した魚の小ささを知った時が、いい女になった時なのだ。
もし、この作品が、幸せな老年の女の甘酸っぱい思い出話であったら、と想像して読めば、味わいが何倍にも増すように感じられる。
作中の出来事がBADな展開だね、って意味で作品はGoodですよ。学生の日常あるあるで些細なことのように、静かにえがかれていく。だからこちらも安心して静かに読める。じっくり味わって考える余地がある。学生時代の自分と重ねてみる。
考え深いよ。
登場人物は三人ほど。背伸びも装飾もなく普通に学生、いい意味でらしさが溢れてる。
いやなことがあると憂鬱だし、人間関係楽しい時間ばかりではない。それは仕方ない。そこで泣くことも怒ることも暴れることもできる。自分に非がない。それでも悲しいことはやってくる。
綺麗事ではないけれどきれいにまとまっている。きれいでおさまっている。
私は好きだな。やるせなさが爆発してるよ。