神様のお咎め
坂本 光陽
神様のお咎め
宮古島の近くに、
大神島は昔から「神の島」として崇められている。島には立ち入り禁止の聖域があり、勝手に入ってはいけない場所がいたるところにある。
昔、大学教授が調査にやってきたとき、重大な問題が起こったらしい。
教授は島で行われる秘祭に関心をもち、執拗に取材を申し込んだのだが、断られてしまった。そのため、勝手に神聖な場所に入り込み、無断で写真や8ミリの撮影を行ったのだ。
これによって、島は神様のお
島で工事が行われた時も、同じようなことが起こった。
島の東側が浸食によって削られたため、防波堤を兼ねた道路建設の話が持ち上がったのだ。だが、工事中、神様にとって重要な岩石を砕いてしまったため、お咎めを受けてしまった。
ブルドーザーが故障したり、関係者の体調が悪くなったりした。現場で怪我人が出た上に、現場監督まで亡くなったのだ。工事関係者は慌てて、岩石の修復を行ったらしい。結局、道路工事は中断され、そのまま現在に至っている。
さらに、大神島には、島のものを持ち帰っていけないという取り決めがある。石や木片、貝殻一つといえども例外ではない。島から決して持ち出してはいけないとされている。
しかし、世の中には罰当たりがいる。東京からの若い旅行者が、「神の島」の貝殻を大量に拾い集めて、こっそり持ち出したのだ。「神の島のお守り」として売り出そうと考えたらしい。持ち出し厳禁は聞かされていたが、ただの迷信ぐらいにしか考えていなかったのだろう。
この旅行者も神様のお咎めを受けた。40度を超える高熱が出て、身体中に赤い湿疹ができたのだ。島の決まり事を破ったために、天罰が下ったのだろう。
旅行者は貝殻を島に郵送して神様に許しを請うたのだが、聞き入れられなかった。解熱剤を服用しても高熱が下がらず、20代の若さで亡くなったという。
神様のお咎め 坂本 光陽 @GLSFLS23
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