最終焼 みんなの居場所
レムはまたここで焼鳥屋をやろうと言ってきた。ここはみんなの居場所になっているからと。
鳥型魔物が発生しなくなったこの洞窟には旨味がない。新規顧客も見込める街中に出したいと言うのが正直なところだったが、レムの言うことを無視すると大変なことになると学んだので、彼女の言う通りにした。
エフィも手伝ってくれることになった。今は準備期間になるが、開店すればウェイターをやってくれる。彼女は美人だから、評判の看板娘になってくれるだろう。
洞窟の内装を整備していると、見慣れた顔が入って来た。クリエとスティナだった。
現在の店の状態を伝えると、スティナが目を輝かせる。
「物流のシステム構築も養鶏場との契約もまだなんだね。任せて! 盗賊で運搬適性がある子たちに物流の仕事を与えるし、養鶏場とも契約取ってくるから」
「王国の仕事は良いのか?」
その問いにクリエが代わりに答える。
「引退して、焼鳥屋で働こうかと思ってな」
だしぬけに言われると、こうも言葉が出てこないものなんだな。
「魔王を倒して平和になった。しかし今度は他国との戦争が始まった。私も国に仕える身として尽力するつもりだったのだが、捕虜の扱いが酷かった。これでは盗賊と変わらない。このままではスティナに説いたことがすべて嘘になってしまう」
クリエはクリエの正義に従ったってことか。
それから五人は各々、焼鳥屋再開に向けて、内装改築や契約締結のために動き出した。攻略済みダンジョン……と言うかもうすでにダンジョンですらなくなったこの場所を、みんなの居場所にするために。
攻略済みダンジョンで焼鳥屋始めました。 詩一 @serch
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