AIは恋愛しない……はず?

深宙 啓 (Kei misora)

世のAIストーリーに投じる一石を



 今、最も世間で注目を浴びている時事ネタ、AI。


「別にAIに恋愛して貰おうなんて思ってないよ」


 タイトルを見てこの様に思う向きも有るでしょう。にもかかわらずこれを書いたのは、そうも言えない状況になっていると判断したからだ。私が恋愛して欲しいと思っているからではない。

 ―――― 多分……。



 さて、このAI―――― 産業革命、IT革命……その次に来ると目される『私達の生き方を根本から変えてしまうもの』と言われている。


 身の周りでも自分の仕事が取って代わられると危惧する人は大勢いる。


 私見では究極的には殆どの人間の仕事にとって代わり、その存在により人類はベーシックインカムが当たり前になる要因になると踏んでいる。


 そのAI、つまり「人工知能」を扱った作品は昔から無数に在在するが、昔はロボットキャラとして認識する人も多かっただろう。

 そう、自由に考え自由に行動するロボット。


 今は知能の部分が注目されるため、体を持たない知能部を『ボット』等と呼んで区別されていたりする。


 その意味では恋愛シミュレーションアプリ等は正にその類いだ。実体は持たず、イケメンや美少女のアバターだけでコミュしてくる。

 今後これからは更に「人らしく」自然な会話で接して楽しませてくれたり、癒してくれたりするに違いない。時には恋愛も。


 でもそれはそうするように仕組まれたプログラムにすぎない。

 そう、自発的に恋愛してくれる訳ではない。



 今回これを書いた理由は正にそれで、今までに見た小説、アニメ、マンガ等の様々なドラマにおいて人工知能(=AI) が人に対して恋愛感情を持った設定のストーリーを数多く見かけて思う所が有ったからだ。


 『AIが恋愛感情?』……と。


 でも特にオカシイとツブやく巷の声もきかず、多くのそうした作品が生み出されてきた。

 古くは鉄腕アトムや、宇宙戦艦ヤマトのアナライザー等もそうした描写があった。


 結局そう描くのは人側の願望なのかな、と。

 楽しいのでそれは否定される必要はないと思う。

 只、ここで論じているのは実際にはどうなるのか、という所から見た違和感との付き合い方だ。


 因みにここでは恋愛用にパターントークするような特化型のAIは除外し、自意識を持つかそれに近付ける汎用人工知能と呼ばれるレベルの物を指して論じて行きたいと思う。




 ところで。


 今やグーグルやら最先端企業はAIに『自考力』を持たせつつある。

 もしそれらが恋愛してくれるのなら、そのやり取りは単なるル―ティンプログラム反応では無いって事になる。


「やった! なら踊らされた片思いじゃないヨ~!」


 等と未来に希望を持ったそこのあなた!

 諦めましょう。多分そうは成りません。

 多分ですが……。


 その理由。

 そもそも人類や動物達に何故恋の季節が有るかを紐解けばカンタンに解ります。


 つまり子孫繁栄のため、種の保存性を高めるべく敢えて雌雄に別れ、生き残り戦略として多様性を重視。

 出来るだけDNA的に近類を避けるよう本能に組み込まれ、ニオイやフェロモン物質から近親でない相手を探せるようにした。


 また、メスはワガママを言っても自分にこだわり(=好き)を持ってくれる面倒見の良い相手を見極めたり、と言った―――妊娠、子育て期でも食糧に困らせない相手―――を効率よく探すシステムとした。

 或いは自分をめぐってオス同士を戦わせて強い物が残る様にもした。


 それが多くの動物の恋の季節の行動原理。


 ただ、それを踏襲しながらも上手く高めて、互いに大事に扱える崇高なシステムとして人類は恋愛を大切にした。このシステムを否定することは種の存続を危うくしかねない訳だから。


 詰まるところ人間に本能レベルで備わっているシステムとなっている。



 それならばそうした性による繁殖を必要としないAIはどうだろうか。 

 恋愛をするメリットや必然性があるのか。


 勿論――――無い。



 ならば自考力をもったAIが人を「好き」になる事=恋愛対象とする事は無いのか。


 必ずしも無いとは言えないが、そうした『感情』というもの、実はAIには不要と言われている。


 多くの人がAIが進歩して自意識を持てば感情までをも獲得すると思っている。


 ところが脳科学の専門家曰く、感情は実は進化の過程で低位のものであり、人間で言えばその多くを小脳が司っている事からもそれは自明であるという。


 怖いから逃げる、好きだから追いかける、怒って立ち向かう……動物たちが生き残りをかけ、瞬時に判断するのにこの感情という情動スイッチが大変有用だったわけだ。


 動物たちに人間ほど豊かな感情が見て取れないから、感情を持つ事が高等な思考と思い込まれがちだが、動物の表現手法が人よりも少ないだけで、要するに特段高等なものでは無いらしい。


 

 故にボットはそれを必要としない。


 その上、人間より遥かに早い思考力で『自考』出来るシステム―――それもこれ迄の動物の脳神経ネットワーク=ニューロンとは異なるタイプの自考可能回路すら開発されたという。


 そうした新しい頭脳をもった存在が、自意識を持つ日も近い、等というニュースを先日見かけたりもした。


 それ程の存在が何ゆえ、好きこのんで人との恋愛にうつつを抜かすと言うのか。

 

 やはり恋愛シミュレーションプログラムにあやしてもらう、『表向き両想い、実際片思い』という事に成らざるを得ないのである。

(まあ、それでも良いとする人も居るだろうが)


 さて、これに基づけば多くのAIの恋愛ストーリーがその問題をクリアしていない。


 今期のアニメ(2023年8月現在)でもAI関連がいくつか有るようだが、その一作品を見たところ、メインストーリーでは自考力さえおぼつかないAIを(人間とは異なる) 心のない別物、としてキチンと表現した含蓄あるストーリーとしながらも、ヒロインのヒューマノイドは主人公にホレてる描写が随所に現れ、これは既に設定破綻である。

(まあ、萌えるからそれで良いのだが……)


 そんなこんなでここ、カクヨムでもまだ1~2作品しかその点を分かってる人(作品)に出会っておらず、しかもだからこそ、その作品でのボットは『人に対し容易い恋愛感情を持たせていない』所が秀逸であった。




 では本題。


 そんなAIが自考力をもち、あまつさえシンギュラリティを起こして『自意識』を有したとして、人に恋愛してくれる事はついぞ有り得ないのだろうか。


 ここまでツラツラと否定的見解を展開して来た所をみて、筆者を否定派と思われた方も多いと思うが、実はそんな事はない。


 先日完結させた拙著『異世界でチート超人になったら人生とり戻せますか? 褒めて貰えますか? ~ダブルジェンダー転生記』

を読んで頂いた方はお分かりかと思うが全くもってのロマンチストである。


 故に我こそがそこに果敢にも挑戦すべき!

 とばかり少ない脳ミソを絞って頑張った。


 そう、そんな優秀で無機質的なAIが、それでも人に想いを寄せる数少ないルート?を見つけ出した!……ような気がする。

 ……かも。


 とにかく先人達が描いたAI像を否定せずに居られる世界の方が、ここ、カクヨムファンタジーに生きる私達にとって良いに違いない。

 ……と思う……。


 やはりこれまでのAI像の後押しに尽力して見よう!




 そうした経緯により、練り上げた作品を近日アップロードしていこうと思うので(冷やかしついででも良いので)、本当にそんな事が空想上でも成り立つのか是非見極めに立ち寄って頂きたい。

 てゆうか、頂けたら有りがたいです!

 いや、お願いしますっ!



 最後は宣伝と懇願になってしまった……。

 が、元々はそれが目的、いや、もとい皆様にとって人類とAIが共存共栄して行くためのブレーンストーミングの一助となれば、とペンをとった次第である。


 これについて色んな考えがあって良いと思うので、是非皆さんの考えも気軽にコメントして頂けたら嬉しいです!

 AIは道具、AIは限り無く人に近づく、逆に人の脳がAI化、etc……。




 現在皆さんの意見を待ちつつ、すでに公募用に出来上がっている作品をカクヨムへアップロ一ド出来るようWeb小説化へ向け準備・調整中です。


 それでは乞うご期待!







▼因みに私の作風はこんなカンジです。宜しかったら訪れてみて下さい。

https://kakuyomu.jp/works/16817330660571900646


★読み終えた時に『兎に角グッと来るもの』を目指してます。そして特徴は、

・目が滑らない文章

・行動、発言が誰の物か分かりやすい

・登場人物を抑えてるので脳が省エネで読める

・表現よりストーリーにウェイト。

こんな感じです。





☆☆☆追記  2023年9月27日―――――――


漸く本日公開しました。宜しくお願いします。

https://kakuyomu.jp/works/16817330662707650539

『愛した人は二次元でも三次元でもありませんでした ~AI美少女との誓い』







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