陰キャヲタクの主人公が開発した、AI美少女とのラブコメです。
見た目かわいく、優秀なのにトジッ子。
どんなにイケてなくても主人公大好き!
……って、女性である私には好きになれる要素皆無なヒロインでしたが、AIの成長について、テクノロジーの面で具体的に描かれており、「自我形成」における自他の存在を考えさせられ、おもしろく読むことができました。
おもしろかったから余談で書かせていただくのですが、物語としては要素が多すぎて、ストーリーとしてもっと書き込めばいいのにと思わなくないこともあります。
ラブコメなのか、政争なのか、はたまた、学生同士の競争なのか。
私はメインはラブコメとして読みましたが、主人公とヒロインへの気持ちが強いのかもしれませんね。
そこがおもしろかったりするので、枝葉は削っていくとさらにシャープな作品になるような気がしました。
AIとの恋愛物語です。ただ、AIヒロインといってもAIという感じではなく、ちょっと幼い印象を受けるヒロインでして、コメディタッチな印象を受けますが、物語の後半には‥‥、といった感じの物語です。
ちなみにこの小説のテーマは、オントロジー、つまり、存在論になります。デカルトを例にだして話をしているものの、この小説はそれにはとどまらず、プラトンのイデア論的な論調で話しているところもあれば、ハイデガー的な視点で話を展開しているところもあり、哲学的には非常に面白い視点がちりばめられていて、哲学が好きな人は後半にいけばいくほど、楽しさを感じてくれるのではないかと思います。
筆者は、中高生向きとおっしゃってますが、いやいやそうではなく、充分大人も楽しめる、そして読み終わった後、人生について考えさせられる内容です。ちょっとネタバレしちゃいましたが、私は面白いと感じた一冊です。
そして、作者さまも言及している通り、ラストはなかなか……なので、最後まで読んで欲しい作品です。
AIものとしても傑作だと思いましたが、控え目に言ってもこれはアンドロイドとの恋愛物語の中では最高傑作の一つかと感じました。
美少女アンドロイド・クレアちゃんは、とある成り立ちから、生まれてすぐに世間に役立つアンドロイドをめざす事になりますが、大きな問題があって再調教する必要ができてしまうのです。・・・が、それが実にイイ!
前半ではクレアちゃんとの軽やかなチグハグコメディのやり取りでは、どれもクスッとさせてくれる連続攻撃。
ついつい次を追ってしまう。
そうして中盤、それぞれの想いが時に優しく、時に切なく接近してゆくと、キュンとするとニヤリにかわり、クスッとすると切なく甘々だったり、コレガ全く飽きさせまん。
しかもその中で少しずつ今どきのAIについてが何となく分かってくる。そして、より人に寄り添えるよう、質の良い感情---喜怒哀楽の習得に励んでいき、実際に人間のようになって行きます。
そのクレアちゃん、考えることが出来ても自我を持たない存在だからこそ生じるすれ違いがリアルに伝わってきて、この辺りで多分、読者は皆、クレアちゃんにかなりの愛着が生まれてしまうでしょう。応援コメント欄を見てもそれは凄くわかります。
クレアちゃんを製造したメルト君も誰よりも大切な存在として大事に扱って行きます。
そしてこんなに思いやりに満ちた二人に生じる変化と迫る存在が・・・。
ドンドン展開してゆく出来事に追い詰められて、クレアちゃんの本質が・・・そしてさらに最後に二人は・・・
これ以上はネタバレになるので読んでもらうしかありませんが、すごいです。
そこに至るまでの偶然と必然に思わず没頭して、中後半からはもう最後までドキドキハラハラの連続。 しかもAIを掘り下げる内、人間の本質や愛についてまで深く考える事に!
未来の人とAIの関係を考えざるを得ません。
そしてもう余りに・・・な最後は必見です! 読了後、思わずラストのイラストを呆然と見入ってしまいました。
この深い愛と感動の物語を皆さんも是非。