青い運命

@pontana

第1話

 うちの名前は橋本美桜(はしもとみお)。

京都の田舎に住んでたんやけど、高校2年に上がる前お母さんから告げられた。

1年後再婚する予定、と。再婚相手は東京にいる。そのため、この住み慣れた京都を離れて、東京に住むと。


 正直、お母さんが再婚の話をした時はびっくりしたけど、嬉しさの方が勝った。

東京にはいずれ行きたいと思ってたから、ついうきうきしてしもて、勝手に手続きやらして2年の4月末から東京の高校への編入が決まってしまった。

お母さんは、仕事があるから後1年はどうしても

京都を離れることができひんかった。

やから、1年間はあっちで1人暮らし。

めっちゃ楽しみやねん。



 そして、4月15日東京に出発する日が来た。

憧れの東京、1人暮らし、新しい学校、ワクワクと不安でいっぱいやけど、楽しいことしかまってへんと、うちは思ってる。

京都には、約15年住んでたけど、最後に桜を見れたから悔いは残ってない。

名前に"桜"って入ってるから、うちは桜が好きや。


 京都駅から東京都まで新幹線で約2時間ちょい。

住んでるところから京都駅まで2時間ぐらいかかる。

合わせて片道4時間といったところ。

この年になって初めて新幹線に乗る。

箱入り娘なんちって。

お母さんと一緒に東京まで行って、引っ越しの準備をする。

「お母さん。せっかく東京いくんやし、

今日は、再婚する人のとこにでも泊まってきたら?」

お母さんは、ため息をついた。

「何言ってんのあんたわ。今日は、引越しの準備できたんやろ。」

気を使ったつもりやったけど、失敗。

せっかくやったら、一緒にいてほしいと思ったんやけどな。

うちは、窓側の席に座って外を眺めた。

新幹線から富士山が綺麗に見えることが、滅多にないとか聞いたことある。

ずーーーっと外を眺めてたんやけど、

全然見えへん。

「なぁー、富士山もーみえる?」

「富士山?そんなんとっくに通り過ぎたで、しかもこっちの側から見えへんで。」

「え、まさかのそんな根本的なミスをしてたん。」

普通にショック。

初めての新幹線やし見てるだけで満足。


 流れ行く景色の中、お昼ごろ東京駅に着いた。

「東京や!」

思わず口からそう叫んでいた。

「もー美桜そんなはしゃがんといてーや。こっちが恥ずかしいわ。」

はしゃぐうちにお母さんは、早口でいった。

「ごめんごめん。つい嬉しくなって。」

心が踊る気分を抑え、うちはお母さんの後をついていき、電車を乗り継ぎ一人暮らしするアパートへと向かった。


 アパートへ向かう道なりには、大きな桜の木が1本あった。

「お母さんここも桜の木ある。」

「ほんまな。近くに桜あるだけで美桜嬉しいんちゃう?」

「うん!」

その桜の木の桜はもう散り、風が吹くと同時に花びらがまった。

「来年お母さんが来る時ぐらいには桜満開かな。」


うちはこの時、来年の桜が満開と同時に嬉しさと残酷な出来事が起こるなんて思ってもみなかった。

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