付録 5: 日本の数学教育に文句を言う


 今回のガンダムの呪文を解読するときには、数学の概念が必須でした。前回のエピソードでもお伝えしたように、私は数字関連が大変苦手です。でも、読み解くには数式はともかくとしても、数学用語とそれが何をしているのかくらいの理解は必要でした。それらを調べていてつくづく思ったのは、「日本の数学の教え方は難しすぎる!」という点です。


 授業で苦労していたときの気持ちがありありと蘇ってきました。日本の授業には「わからないだろうから一段階ずつ丁寧に」という観点がないように思います。「このスピードで行くからみんなついてきてね!」って感じじゃないですか?


 中学生のときに、友達から「先生には先生用の数学の教科書があるんだよ! 計算の手順が丁寧に書いてあるんだ」と教えてもらって、本屋に見に行きました。赤字で模範解答が書いてあって、欲しい!と思ったんですが、中学生に買えるような値段ではなかったので諦めて帰ってきました。


 今考えると、何も知らない子供が初めて習う内容なのに、なぜあの先生版と同じかそれ以上の丁寧さで教科書が作られていないのか甚だ疑問です。英語圏の算数の教え方は、すごく基本的なところから積み重ねて行ってくれるのに……。↓


 https://www.algebra4children.com/games.html



 そもそも、数学って用語が難しいと思いませんか?


 例えば、関数。私は前回の伝達関数で、「関数ってなんだっけ?」状態だったので、関数を調べるところから始めました。


 関数はもともと函数と書くらしいです。当(常)用漢字を決めたときに「函」が当用漢字には無いから、かわりに「関」とした、とあります。しかし、なぜ「関」が採用されたのかの経緯はわかりません。多分、二つの変数が「関係してる」から、なんだと想像します。


 ではなぜ「函数」なのかと言うと、函数は中国語からの輸入語で、英語で関数を示す function (ファンクション)の音訳(函数: ファンスウ)なんだそうです。……函も関も関係ないやん。


 英語では、なんで x が決まると y も決まることを function と呼ぶのかと思ったら、ラテン語の functiō (perfrom: 実行・遂行する)から来ているんだそうです。

 つまり、「x → 何かする → y になる」という考え方らしいです。こちらの方が私にはわかりやすいです。


 日本語では最近、「関数」を「函数」と書くことが増えているそうです。ブラックボックス(中身の見えない箱)の概念が広まって、前述の「何かする」部分をブラックボックス(黒い函)とみなして、それを見つける、または表現する式として「函数」と使い始めたらしいです。巡り巡って当て字が意味を成したんですね。



 微分方程式も名前がよくわかりません。なぜに微分?

 検索すると「変数の微小な変化に対応する、関数の変化の割合の極限(=微分係数)を求めること」と出てきます。「変化の割合」と言っているので、求めたいのは変化率ですね。変化率を求める式とか呼んではいけないんでしょうか。


「方程式」という言葉は、古代中国の「九章算術」(紀元前 10 世紀から受け継がれて最終版になったのが紀元前 2 世紀 😨)という、数学の指南書にある八章目が出典らしいです。この八章のタイトルが「方程」となっていて、内容としては農作物の収穫量や家畜の売買の問題が連立一次方程式で表され、現代の「ガウスの消去法(または掃き出し法)」と同じ計算で解かれているらしいです。ガウスの消去法は、連立一次方程式以外にも行列の計算に使うそうです。


 ただ、この「方程」という言葉、どうして「方程」と読んでいるのかはっきりしないそうです。「方」は四角形という意味で異論はないそうですが、「程」= 測るで、なぜ四角を測るのかわからないらしいです。


 私からしてみれば、なぜ「方」にみんな異論が無いのかもわかりませんが……。


 まあ、それにしても紀元前 2 世紀に既にそんなレベルの数学が発達していたことに驚くと共に、由来もはっきりしない名前を二千年以上前から使ってるのも驚きです。二千年後に苦労している人の身にもなって欲しいと思いました 😢



 さて、これにて「シン訳・ガンダム SEED OS 書き換え呪文」を終わります。

 最後までお付き合いいただいた方、どうもありがとうございました <(_ _)>

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シン訳・ガンダム SEED OS 書き換え呪文 イカワ ミヒロ @ikamiro00

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