巻末付録(ネタバレあり)

【あとがき】と続編プロット紹介

※ご注意※


この先、本編のネタバレ要素がございます。

ネタバレが嫌な方は画面を閉じてやって下さい♪


※※※※※






本編読了済の方。

【あとがき】ここから開始です。


 ↓  ↓  ↓



「暁光のハルシオン~封じられし記憶と黒き聖母」をお読み頂いてありがとうございました。

大方の方が、ここで終わるの!? 的なご感想を抱かれたのではと察します。

私もそう思っています。


続編のプロットは、ざっくりとなら存在します。

古き良き王道の「吸血鬼モノ」っぽい、ちょっと血なまぐさい話になるかんじです。

久しぶりにプロットを読んでみたら、小説として形にしてみたい気持ちになりました。

何分、現在仕事が多忙で、創作の為の時間を作るというレベルではなく、体力回復のための時間を設けないと辛いという状況です。

ですが、もしも仕事が落ち着いたら、続編の小説化に取り組みたい。

ハルシオンやアナーシア。そして本編ではあまり触れられなかったグロリア。

彼らの物語を紡ぎたいと思います。


もしよろしければ、こういう部分が知りたかった!とか、本作品で気になった所があったら、教えて頂けると助かります。


というのも、本作品で最初にレビュー下さったbabibu様のそれを拝読して、ハッと我に返ったのです。


 (一部抜粋)


~一番不安に感じられたのは、やっぱり『吸血鬼が普通の人間として暮らしているかも』という設定です。この物語の吸血鬼は、人を襲う時以外は吸血鬼だって分かりにくいんです。

もうね。読んでる間、登場人物がみんな吸血鬼に見えました(笑)


(レビュー全文はこちらより)

https://kakuyomu.jp/works/16817330661265756017/reviews/16817330662392453459


うわああ。私、一番大事な部分をちゃんと書いてないやんか!

普通の人と隣人として暮らしている吸血鬼の存在が、セリフだけで終わってる!!


ここは続編への課題にしたいと思います。

やはり自分以外の方にお話を読んで頂いて、感想(フィードバック)を得ると勉強になります。


ということで、続編のプロットで読めそうな場面がありましたので、巻末付録として公開いたします。いつかこの物語に再度、光を当てることができることを祈りつつ。



2023.9.18 天竜風雅





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【続編】『暁光のハルシオン~十字架の騎士』

† プロット一部紹介 †


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 アナーシアと母であるアルビヨン女王はいつも食事を一緒に採る。

 けれど女王の顔色は悪く食事も進まないようだ。


「お母様、どこかお加減でも悪いの?」

「いいえ。わたくしは大丈夫」


 母は毎朝10時に各部署の長たちの報告を謁見室で聞く。

 席を立った女王を見送りながら、アナーシアの胸には不安がよぎる。



 ◇



「お母様、今日、ちょっとおかしいと思わなかった?」


 銀光騎士団の詰所にアナーシアは入り浸っている。自室謹慎中に無断で外に出た件は、ハルシオンを助けるために止むをえなかったという事情を女王が理解し、許してくれたからだ。

 ついでに射撃の許可も下りていた。アナーシアは早速、射撃の手ほどきをハルシオンから受けていた。


「どんなふうにですか?」

「今朝、あまり朝食を召し上がらなかったの。顔色も青ざめていつものお母様らしくなかった」

「陛下もお疲れなのでしょう。アナーシア様が夜な夜な城を抜け出して夜警に出たり、吸血鬼と戦うために射撃を覚えたいなんておっしゃるから」

「ハルシオン」


 むっとしてアナーシアが不機嫌になる。


「私のせいだというの?」

「あまり陛下にご心労をおかけしないことです。もちろん、私も姫が夜な夜な城から抜け出しているという状況を好ましいとは思いません」

「……」


 ふいっとアナーシアがそっぽを向く。


「――私も、一般市民だったらよかったのに」

「え」

「いち国民だったら銀光騎士団に入団して、ハルシオンと一緒に吸血鬼と戦えるわ」

「アナーシア様……」


 ハルシオンが一瞬あっけにとられる。けれどその顔はかぎりなく優しかった。


「そうですね。あなたなら、私の背中を任せられます」


 今度はアナーシアがあっけにとられ、やがてその顔に嬉々とした表情が戻った。


「ありがとう。私のことをそういう風に見てくれるのはハルシオンだけよ」


 じゃ、午後の授業があるから。

 アナーシアが立ち去る。

 一人きりになったハルシオンは、小さくため息をつく。


「ノムリス。用があるなら出てきたらどうだ」


 振り返ると、執務室の隅の暗がりに、相変わらず旅の神官を装った銀髪頭が立っている。

 ハルシオンは首に下げた白金の十字架shining gloryを握りしめる。


「君の若さが羨ましいな」

「何?」


 ノムリスは薄く笑う。


「君は自分が何者か気付いているんだろうな? 私は3日前、君の右手首の骨を砕いた。『輝ける栄光shining glory』を持つことができないように」


 ハルシオンは今やそれを右手にしていた。


「私がここに来たのは他でもない。である君を迎えに来たのだ」


 ハルシオンは息を飲んだ。

 頭の片隅では思っていた。

 治癒力の早さ。感覚の鋭さ。昼間よりも夜の方が活動しやすい。


「君も『始祖グロリア』によって吸血鬼となった『真正』の吸血鬼エスカルラータだ。そして、『輝ける栄光shining glory』を持つ『十字架の騎士』」


 ハルシオンは驚愕のあまり声も出ない。


「私は……私はどうして……」


 ハルシオンの右手の銃shinig gloryが、再び白金の十字架へと戻る。


「何故だろうね。吸血鬼である君が、何故吸血鬼が触れられない『輝ける栄光shining glory』を持つことができる?」

「――知らない」

「私はその答えを知っている」


 ハルシオンがのろのろと俯いていた顔を上げる。


「推測だが、君を吸血鬼にした『黒き聖母・グロリア』――彼女が君の記憶を封じたのは慈悲だろうね。吸血鬼を狩りながら、自分自身も吸血鬼であるという皮肉を君に知られたくなかったのかもしれない」


「ノムリス。お前に聞きたいことがある」


「なんだい? 何でも聞いてくれ。先輩として優秀な後輩に知識を与えることができるのは寧ろ喜びだ」


「それは……私が吸血鬼になったのなら……何故、『輝ける栄光shining glory』に触れても無事なんだ? お前たちのように私は吸血の衝動に駆られたこともない。真昼でも外を歩くことができる。それでも同族だというのか!?」


 ノムリスはしばしハルシオンの顔をうかがっていた。


「恐らく私が言っても君は信じない。問わずとも君の心からそれを感じる。だから、自分の体に聞いてみた方がいいだろう」

「それはどういう―」

「この部屋に鍵がかけられるものはないか?」

「私の執務机は施錠できる」

「よし。じゃそこに『輝ける栄光shining glory』をしまって鍵をかけよう」

「ノムリス?」

「鍵は私が預かる。いや、信じて欲しい。君から『輝ける栄光shining glory』を奪う気はない。だが君は知らなくてはならない。自分のことを。ハルシオン。ひと月『輝ける栄光shining glory』を持たずに生活できたら、この鍵は君に返す」


 ためらいながらも、ハルシオンは首から白金の十字架を外し、右手に持った。

 ひとつひとつが十字の形をした鎖がシャランと澄んだ音を立てる。

 真っ白い金属の中で唯一の色――十字架の中央にはめられた真紅の宝石が、問いかけるようにきらりと光り、表面に同じ色の瞳をしたノムリスの顔が映っている。


「よし。いい子だ」


 ノムリスは執務机の引き出しを開けて、ハルシオンに『輝ける栄光shining glory』を入れるように指示した。ハルシオンは素直に十字架を引き出しに入れ、手にした鍵で施錠する。

 鍵は執務机の上に置かれている。

 ノムリスはそれにそっと手を伸ばした。ハルシオンは黙ったまま見つめているだけだ。



「『十字架の騎士』は一人だけしか存在できない。久々に我がもとに戻ったのに、私はもうその資格を失ってしまった。後輩ハルシオンよ。自分が何者であるか知るがいい――これは『血の試練』だ」




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【続編】『暁光のハルシオン~十字架の騎士』

† プロット一部紹介 † (完)


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暁光のハルシオン~封じられし記憶と黒き聖母 天柳李海 @shipswheel

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