探偵道程

この物語に探偵を求められても困る。
なりたくてなったわけではなく、強引に押し付けられただけだ。役割を、役職を騙されただけだ。
役職と言われると、なんだか重責があるように聞こえるが、そうではない。これがつくと話が変わってくる。「部活の」、これは高校生の部活動の話だ。だから、この場合、探偵役というのが適当だろう。ようはごっこ遊びだ。
しかし、探偵という役割を求められているのもまた事実だ。探偵という役は事と次第によっては求められるものが変わってくる。
たとえば、フィクションの世界では推理が求められる。推論に基づいて事件を解決していくというのが王道だろう。現実では事実だけを求められる。依頼に沿った事実を探し、見つけた事実を依頼主に伝える。
先ほども言った通りこれはごっこ遊びだ。事件の過程を推察し事実…続きを読む