これは自分を捨て、見つけにいく物語

かように仲睦まじく過ごしていた家族がありました。一人息子はたいそう優しく、美しい少年であったのに。
彼を取り巻く運命は、非情なる行いによる親の死により変わってしまったのです。

少年は自らを捨て、殺し屋になります。
しかし殺し屋にも流儀たるものがございます。
茶屋にて舞い吟じる流儀と同じく、相手を闇雲に殺めるのではありませぬ。しかるべき相手を、然るべき所作で遇するのでございます。然るべき理由をもって。
少年は学び、育って参ります。他から教えられながら。そして新たに生きるのです。

深き味わいを得るには心構えも必要です。
一作目からお読みになればなおのこと、興が増すことでしょう。
柏原にて、お待ち申し上げます。

(この評の体裁については、本作をお読みいただければお分かりになることと存じます。これにて次のお座敷に参りますね)

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