第5話 最終話 作戦
「そんなに、あずくん、あずくん、言うのやったら、夏休みが終わったら幼稚園行く? あずくんみたいなお友だちいっぱいいると思うよ」
「うん、ようちえいく。ルナようちえいく」
「そうしたら、お弁当持って行こうね。お弁当は何がいい?」
「タコちゃウイ」
「タコさんウインナーね」
中途半端な時間に帰って来て昼食を食べる一平にも、弁当を持って行ってもらおう。
弁当を開けたとき、タコさんウインナーを見て、一平はどんな顔をするやろ。ナオは可笑しくてしょうがなかった。
「レイちゃん、その話は承諾しかねるわ。いくらなんでも簡単に考えすぎやわ。もし、赤ちゃんが生まれたらの話やったら全力でサポートする言うたけど、こうなってきたら話は別」
「え~、いい思いつきだと思ったんだけどな」
「だいいち、ガクさんとよう相談したん? してへんでしょ。ガクさんがウンと言うわけあらへんわ」
ガクの眼科の定期検診の日、2人は出かけて行った。
「先生にも相談してみるわ」
レイは言ってたけど。ナオは2人について行きたいくらい心配だった。でも、ルナまで連れて行くのもどうかと思ってやめた。
「ただいま」
「レイちゃん、どないやった?」
「話するまでもなく、ガクさん、ドナー登録してあって、どうやら順番が回って来たみたい。すぐに入院してくださいって」
「いきなりやねえ」
「順番で言うたら、前の前の人が海外に行っていて、おそらく手術を受けに行っているのだろうって。それでその次の番の人はコロナに罹患してお気の毒に、あっ、入院セット取りに来たんだった」
レイは自室に忙しなく向かうと、今度は白のキャリーバッグをカラカラ押して戻って来た。
レイは安堵の表情を浮かべつつも、そこには今度は新たに緊張感が溢れていた。
「行ってらっしゃい。またライン送ってね」
ナオはそれだけ言ってレイを送り出した。
はあ、良かった。
ガクさんが子どもをつくるのは不安だと言っていたそうだ。
失明していることに要因があるのならなどと、レイは色々と思いつきをナオに相談してきたのだが、そのテーマはあまりにも重たすぎて答えを出してあげられそうもなかった。
レイのガクへの思いは深いと知ったが、そうならなくて良かったと安堵のため息を漏らすのだった。
【了】
最終話までお付き合いくださいましてありがとうございます!
続きまして『🏡ガクの過去💓』でまたお目にかかりたいと思います。👧ありがとごじゃいまチュ🎵
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330661414882907/episodes/16817330661415241573
8🏡レイの思い💓 オカン🐷 @magarikado
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