リレー小説という存在も、それが全国で一般的に行われていることも本作を読んで初めて知ったのですが、これをテーマにする着眼点に感心した。
小説執筆という孤独な作業と青春は一見正反対に思えるが、「リレー小説」とするだけで、これほど青春ど真ん中として描けるとは。
しかも、それを児童書でやってるんだからすごい。
物語終盤にある学校対抗戦は、さながらスポ根漫画の団体戦のようで、読んでて純粋にテンションが上がった。
各メンバーの特徴を活かしたり、強豪校を打ち破るための秘策を考えたり、文芸部(厳密にはリレー小説部)とは思えない熱さがある。
各キャラクターの魅力もしっかり描かれていて、文字数的にももっと他の展開を読んでみたくなる。
特に、小説を書く側の人は「こんな青春最高じゃん……」と心の底から羨ましく感じると同時に、より感情移入できると思うのでおすすめです!
物語の舞台は小学校。個性的な仲間が集まって、リレー小説を書くことになりました。
本好き。おしゃべり好き。サッカー少年。病弱な子。謎めいた子。
性格が文章に表れて、それぞれの子が書いた作品はどれも特徴的。そこには技巧的なものよりも、個性が光ります。
楽しいという気持ちで始めた創作。けれど小説家を目指すなら、他人の評価がついてきます。
主人公ユメちゃんも不本意ながら、評価のある世界に巻き込まれていきます。
学校には様々な部活がありますが、文芸部のイメージは決して明るくはないと思います。文芸部と青春は結びつかないかもしれません。
でもこの作品は、青春そのもの。
リレー小説そのものが面白いですし、四人組で物語を作っていく楽しさにあふれています。個性が組み合わさってひとつの物語が完成することに感動すら覚えます。
大人が読んでも楽しい作品です。ハラハラワクワク、そして小説のことも勉強になる素敵な作品です。