無垢で窮屈な王女はまだ見ぬ世界を望む

ある大地の大国、アルガリア王国の第2王女、エリーゼは何一つ不自由の無い窮屈で退屈な己の人生を嘆きながら、日々を淡々と過ごしていた。

「御伽噺に出てくる、あの優しい泥棒の様な人が連れ去ってくれないかしら」

まだ見た事ない世界への憧れを持ち、"今日とは違う明日"を焦がれながら、彼女はいつも月夜を眺め外の世界へと思いを馳せている。


そんなある日、とあるパーティに参加して、いつも通り蚊帳の外として退屈していた彼女に、一人の男が話しかけてくる。

その男こそ、彼女の持つ首飾りを狙う自称"心優しき泥棒"であった。


何も知らず、純粋な心で外の世界を望むエリーゼ。
彼女が纏う、愛という名の呪い。

世界を望んだ先にある"終わり"は幸せな結末か、血塗られた破滅か。

一つの王国を舞台に純粋な欲望が巻き起こす、穢れた願いの物語。