2 君と未来と『変わらぬ事象』(2)
「……は?」
彼女、雫が自分が朔也の娘だと言って私が最初に発した言葉がこれだった。
「……え?じゃあなんで私の学校に入れてるの?」
「えっと……。先週転校生としてこの学校に入ってきました。」
そういえば先週確かに別のクラスに転校生が来たって小耳に挟んだ気がする。まさか雫だったとは。
「……じゃあなんであんたは生きているのよ。朔也は死ぬはずでしょ?」
「……実は、私の世界だと朔也さんは生きているんです。」
「そう……なんだ。じゃあ朔也が死ぬとタイムパラドックス?的なやつが発生するから?」
「!はい!だから朔也さんを助ける必要があるんです!」
妙に食いつく感じで彼女は話してきた。
「……そう。分かった。」
とりあえず私は納得した。
「それで改めて、朔也を助ける方法は?」
いよいよ私たちは本題に入った。
「はい。おそらく死因は通り魔が刺したことによる刺殺です。ですので彼を何としてでも守ってください。」
「……未来から来たなら何をしたら回避できるとか知ってるんじゃないの?」
「えっとそれは……。その……。」
「何?何か方法はあるんじゃないの?」
私は問い詰めた。しかし彼女は申し訳なさそうな顔をして、
「……分かんないんです。ごめんなさい。」
と言った。確かにそうだ。向こうでは朔也は生きてるんだ。分からないのは当然だ。
「……そうだね。こっちこそごめん。」
「いやそんな!晴香さんは謝らなくていいですよ!……こっちが悪いんですから。」
「そう……。」
私はそう答えるしかなかった。
「じゃあどうしよう……。」
「……彼が刺されるのを防ぐために、一回帰り道を変えてみるのはどうでしょう?」
「……分かった。とりあえずやってみる。」
私はそう言った。
「……ありがとうございます。」
「いいよそんな。助けないといけないのは私も一緒だから。」
「……あの。」
「ん?」
「……どうか、絶対に死なないでください。」
私が教室を出るとき、彼女の顔はどこか申し訳なさそうな顔をしていた。
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