2 君と未来と『変わらぬ事象』(1)
――目が覚めると、私はベッドで横になっていた。パジャマを着て、薄い布団をかぶっていた。スマホの時計は6時半、私がいつも起きている時間を指してた。
(それより日付は……。)
私はさらにスマホで日付を見た。日付は6月4日。どうやら本当に戻ってきたらしい。
(確か朝イチに来てって言ってたな……。)
学校が開くのは確か7時半過ぎごろだったはず。朝イチで学校に行く機会がなかったから、ほとんどうろ覚えだ。
私は急いで準備を済ませ、学校へ向かった。
彼女に指定された教室は、驚くほど静かだった。まさに誰も使ってないという感じで、机や椅子は埃を被っていて、彼女は教室のそんな机に腰掛けていた。
「遅かったですね。」
「……なんでこんな埃っぽいところに呼んだの?」
「すみません。他の人に聞かれてはいけないので。」
「……そう。」
そう答え、私は近くの椅子の埃を払って座った。
「それで、今日死ぬはずの朔也を助ける方法って?」
私はそう彼女に聞いた。
「……その前に自己紹介がまだでしたね。」
言われてみると確かにそうだった。私は恐らく雫だと思って話していたが、もしかしたら全く知らない人かもしれない。そう考えたら改めて自分の警戒心の無さに嫌気がさした。
「私の名前は丸山雫です。そして――。」
良かった。どうやら私の憶測は合っていたらしい。しかし次に彼女が発言した言葉は、私の想定よりちょっと……15度くらい斜め上だった。
「私は未来から来ました。」
「……そう。」
「やけに落ち着いてますね……。もっと驚く場面ですよ普通。」
「いやまあ……。確かにびっくりだけど……。未来人ならまあ私のスマホを改造して過去に戻る機能を追加できてもおかしくないかなって……。」
「そうですね……。順番が逆でしたね……。」
確かに先に言っておいた方がもっと驚いてた、その点は私も同意する。しかし、ふと気になったことを私は彼女に質問した。
「……そういえばなんで私のスマホの暗証番号とか電話番号知ってたの?それも未来人だから?」
言われると彼女はビクッとした。明らかに触れてほしくなさそうな顔をしていた。
「……それでおとっ……朔也さんを助ける方法ですが……。」
明らかに話題を反らした。しかも朔也を変に言い間違えるほど焦っている。私は思わず言った。
「絶対何か隠してるよね!言わないなら協力しないよ!」
「……協力しないと困るのは晴香さんの方じゃないですか。」
彼女は顔を真っ赤にしてそう答えた。確かにその通りだ。
「……分かりましたよ。不信感を持たれたまま行動されるのは私も不本意ですから。ただし他言無用ですよ!」
彼女はそう言った。しかし次に彼女が発言した言葉は、私の想定よりだいぶ……今回は60度くらい斜め上だった。
「私は未来の……朔也さんの娘です。」
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