最終回 卒業式
2008年 2月19日
予定日より1日遅れて、暁美は無事第1子を出産。立ち会った隼瀬と冬未も産声を聞いて涙を流し喜ぶ。
「僕達もこぎゃんして産まれてきたつよね」
「うん・・・なんか感動した。私も今年経験するんよね・・・そん時は隼瀬またよろしくね」
ちなみに冬未は現在妊娠2ヶ月目である。
「当たり前たい」
そして、その赤ちゃんの名前は3人で考えに考えて中々決まらず、退院の日になって、冬未が考えた「陽美(はるみ)」に決まった。周りを照らす太陽のような子になって欲しいとの由来である。そし陽美が産まれて1週間ちょっと経った3月1日。隼瀬と冬未の高校の卒業式だ。
「「芙美子先生、色々とありがとうございました!」」
式が終わってから、自分達は特に世話になったような気がして、ずっと担任してくれた芙美子に深々と頭を下げる隼瀬と冬未。その色々の全容は筆舌に尽くし難いもので、簡潔に感謝を述べる。
「2人とも、顔上げんね。そぎゃん泣かるっとしゃが私も・・・」
毎年自身の受け持った生徒達は笑顔で見送ろうと決めていた芙美子であったが、2人が号泣するのを見ると流石に込み上げるものをおさえきれず顔を隠す。
「「先生?どうかしたと?」」
「んね・・・先生ね、生徒の前で泣かんて決めとるけん、だけんね、これは目にゴミの入っただけで・・・」
そして涙を拭って、担任教師として最後に短く「あんた達も人生これからよ」とだけ言葉を2人にかけて、きつく抱きしめて見送る芙美子。そして、遠方への就職が決まった咲良とそれについていく充希の親友夫婦との別れも惜しむ。
「いいんちょ、充希、僕達の事忘れんでね」
「「あんた達な忘れたくたっちゃ忘れられんわ」」
「ちゅうか隼瀬ちゃん、私もう委員長じゃなかっだけん」
「だって1年の時からずっといいんちょだったし、咲良ちゃんて呼ぶの慣れんもん」
「あー、まあゆっくりでよかよ」
「ごめんね。あ、そうだ、こん後充希達うちさん来んね」
「ばってん隼瀬、冬未ちゃん、はるちゃん産まれたばっかてからお邪魔して迷惑にならん?」
「んねんね、暁美もあれなら今日友達とか呼ぶたいて言うてくれとるし」
「お姉ちゃんもみっくんと咲良にしばらく会うとらんけん会いたいて。恵美も来るごたっし」
と、その恵美が県立白梅学園と書かれた卒業証書の筒を持ってダッシュで4人のとこに駆け寄ってくる。ちなみに白梅から四高は結構近いのだ。
「冬未ー、隼瀬ちゃん、充希ちゃん、咲良ー、皆久しぶりー!」
「「「「相変わらずね、あんたは」」」」
そしてこの後、5人の親友達は健軍の隼瀬達の家でこれからの未来についてしばし語り合うのであった。
あとがき
このお話は短い期間でしたが楽しんでいただけたでしょうか。実は当初からこの外伝はこの隼瀬と冬未の卒業をゴールと決めて書き始めました。なお、次回作はうちんと本編世界の方の陽葵陽斗夫婦中心の話の続編かその陽葵の弟の千陽主人公のなんかを考えていたりしたりしなかったりしますので、気長にお待ちいただけると幸いであります。ご愛読、ありがとうございました。
うちんと外伝〜向こうの隼瀬〜 侑李 @yupy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます