おしまい

あとがき

ヴィオラ≒マゼンタが完結となりました。



前作の死神の最終回を書き終え、残りの更新を待つだけとなったころ。

私の周囲ではリコリス・リコイルが大流行りしておりまして。

「あー、女の子のバディものいいなぁ」 と思い、今作の構想を始めました。




ダークな雰囲気を保ちつつ、イヅモとイリヒ。その周囲の人との会話パートでポップな空気生み出すことでバランスを取るようしていました。シリアスと日常の糸の張り合いが非常に難しかったです。難しすぎて多分できてないですけど。




そも世界観というのは作者が定めますが、会話や思考はなるだけキャラたちに任せたい。というのが本音なので、主義主張はなるだけその子らしくなるよう注意しながら書いています。




作品の都合には合わせず動いてもらった、といったところでしょうか。




さて、今作は二つ名を『他者への幸福依存』としています。

噛み砕いて言うと『あなたの幸せが私の幸せ』です。




全員が全員、自分ではなく誰かが幸福に成ることを願っている。

自分一人では成り立たない幸福を望んでいる。幸せを他人任せにしているわけですね。3歩進んで2歩下がっても歩いていた、あの気概は何処にいったのやら。




そして総じて気色悪いのが、全員他者が幸せになるなら、自分は死んでも構わない。そこにいなくても構わないという、自殺の過大評価みたいなことをしているところでしょうか。健全さで言えば大魔女のほうがよっぽど健全かもしれんなこれ。




妥協した幸せはおろか、放棄ですから。

遠慮も行き過ぎればただの卑下。そこまで他人のために生きなくてもいいのにと、書いている本人が思っています。と同時に、ワガママに他人を巻き込むというのも、色々な形があるのだなと。




そんなこんなで、バディと言いつつも最後まで心から通じ合うことはなく。自分が死んで済むならと、大事な人を突き飛ばして生きててもらう作品となりました。




これホントにバディものか?




さてそれはそうと、もうちょっとだけ裏話を。

実は今作は執筆にあたってテーマソングのような存在を付けていました。




・僕が死のうと思ったのは/中島美嘉

・私が明日死ぬなら/キタニタツヤ




どちらも死ぬことを考える歌ですが、入陽の抱える相反する心情をこの2曲を参考にしています。



中島美嘉氏の方は『あなたがいるなら、この世界を少し信じてみようかな』

キタニタツヤ氏の方は『あなたの生きる意味を勝手につけるけど、許してほしいな』

と解釈しながら聴いています。いつかこの解釈が変わるかもしれない未来が楽しみです。



イリヒは九重の3人が生きる世界を信じました。

そしてイヅモの生きる理由を強固に刻みました。




希望が壁の向こうに見えるよう、絶望と怒りを足場にしたあの子らしいと思います。




ただ私が望んだ死だから。ただあなたを送り出したいエゴだから。

世界はそんなエゴが蔓延しているだろうけど、あなたたちがいるなら、きっといい世界なんじゃないかな。

そういう風に、最後まで外の世界を知らなかった。最後まで何も持たせたくなかった入陽の心を重ねていました。




いや違うかも。多分この2曲は篝火みたいなもので、入陽はそこに自身を映し出していたのかも。

揺れる鏡。消えると分かっているから、自分も捨てられるっていう、そんな安心感で佇んでいたのかな。




もしくは外から見た入陽の死に様が前者で、後者が入陽が見ていた死に際とも考えてもいいかなと。恵まれなかった場所で生まれ死んだけど、私は誰かを想えて、結構幸せだったよと。



あの子がそう言ってくれたら、無慈悲に殺してしまった私も多少は気が楽なのですけどね。ですがそれは書き手の勝手な想像と都合ですから、IFでもアフタートークでも書きたくないです。




あの子の感情は、あの子のモノです。

誰が何と言おうとも。誰に理解されなくても。





そんなこんなで、本作も報われずの話が終わりました。この先がどうなるかは、あの子達に任せるしかありませんから。親でも兄弟でもない私がとやかく言うことではありません。



それでは、少しでも楽しんでもらえたのなら何よりです。

次は救いとかそういう概念が最初からないテーマにしようかな。



      




                            2024.10/23 はねかわ

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ヴィオラ≒マゼンタ はねかわ @haneTOtsubasa

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