Last episode & Prologue ずっとずっと



(にひひー、秋君秋君……何でえ?! 嫁かっ! 名前呼びぃ! ……でもでも、顔が、耳が熱い……何か変、泣いちゃいそう。もっとぎゅ。私のこと、いっぱいぎゅってして?)


(可愛いなあ、明里……呼び捨て?! 何なの僕、大丈夫?! ……でも。離れたくない、離したくないって心が、体が……震えてる。でもちょっといろいろと聞こえちゃってますから?! 夕凪さん!)



「んぎゅー……あ、あれ? 周りの女子達、めっちゃしょんぼりしてる! やっぱりモテモテ……ここは、この大チャンスを逃せないの。ぎゅー」


「僕を見る男子達の目が! 目が怖い! 夕凪さん、離して下さいませんか?! んで、ちょっとそこの男子女子達は何でニマニマしてるの?!」





「どどど、どこの海に行きたいとかあるっ?」


「引きはがしたあ~! 二ノ瀬にのせ君のいけずー」


「ううう……だってだって」


「ふんむう……どこの海っていうか、近くでショッピングとか遊んだりできるとこがいいなあ」


「うんうん。ショッピングモールみたいなのが近くにある海岸、とかだね。他には?」


「うん! 後はねえ……おへそみたいな小島が見える海岸?」


「………………もしかして、バス停の近くにカフェがあったりして」


「あーっ! そんな気がする! 何でぇ?!」


「うーん、何となくだけど……頭に浮かんできたんだよね」


「あ、それでね! 優しい運転手さんのバスに乗って海に行きたい!」


「うん、会いたいね。あの……あの?」


「そう! 何か、『あの』って感じがする! うわぁー!」
















【仲良しのお二人様に向けて、尾岡れき『Never Ending Summer Vacation』でした。続いては、お互いを想い合いながら懸命に生きた二人と、その想い出の海をテーマにしたバラードナンバー……】













 



” Blue ”
















” ~あの海をまた、二人で~ ”

















 あうー。夏、終わっちゃうねー。


 だね。でも今年の夏、夕凪さんのおかげですごく楽しかった!


 二人でいっぱい遊んで楽しかった! あ、海に道ができてる!


 夕陽の光が道みたい……綺麗。


 …………ひっく。う……ううー。


 ど、どうしたの?! 大丈夫?!


 うっ……ごめん……泣けてきちゃった。


 ちーん、する?


 するー! ……あっ! 一緒にしないとだね!


 ……? あれ、僕も涙が……近い! 近いってば!


 わ・た・し・の! か・れ・し・さん♪ にひひー☆


 う、嬉しくて顔が……! 


 私もニコニコしすぎでほっぺた痛くなっちゃった!


 ……ふふふ、ふ、不束者ふつつかものですが!!


 ふちゅちゅかものでしゅが……噛んだぁー!











「「ずっとずっと、よろしくお願いしますっ!」」









『Never Ending Summer Vacation』

 

 汗が流れ


 不快で


 当たり前のように


 月日が流れて


 分け知った顔で


 当たり前に頷いてみせる





 偶然会えた


 君は、なんだか大人になって


 変わって、無邪気に感情に触って、一周回って


 慌てて、のばした手





 Never Ending Summer Vacation


 適当にメロディーを口ずさんで


 この歌が好きなんだ


 サビが終わってから、ギターリフがもっと好きで





「ココ好きだよ」


「私も好きだよ」





 君の言葉を追いかけて





 Never Ending Summer Vacation


 終わらないで


 変わらないで


 でも、花火は散る





「隙だらけ」


「好きを見せちゃダメ」





 いつからか甘えられなくて





 言語武装を並べて


 相手を論破することが目的になって


 裸足で歩いたら痛いけど





 オトナって、そういうことでしょ?





 Never Ending Summer Vacation


 適当にメロディーを口ずさんで


 この歌が好きなんだ


 サビが終わってから、ギターリフがもっと好きで





「ココ好きだよ」


「私も好きだよ」





「好きだよ」





 ギターリフが掻き毟るように駆け巡って


 ドラムロールが祝福を鳴らして


 包み込まれるように抱き締めて、ベース!





 ENCOREアンコール?


 その言葉なら何度でも、何度だって!





 Never Ending Summer Vacation


 適当にメロディーを口ずさんで


 この歌が好きなんだ


 サビが終わってから、ギターリフがもっと好きで





 終わらない夏


 燕が去っても、大事なことはドコかに置き忘れてきたけど


 ちょっと、あざとく笑ってみせて


 その言葉なら何度でも、何度だって!






 Never Ending Summer Vacation


 適当にメロディーを口ずさんで


 この歌が好きなんだ


 サビが終わってから、ギターリフがもっと好きで





 好きなんだ


 好きなんだ


 ずっと好きだったんだ


 ずっとリピートしていたいくらい


 ずっと、そのリズムに酔っていたいくらい


 変わって、無邪気に感情に触って、一周回って


 慌てて、のばした手


 だって、君のこと


 














 ずっと



















 好きだったんだ。
















 ~ Fin ~

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【第31回電撃大賞】【新】Blue ~あの海をまた、二人で~ マクスウェルの仔猫 @majikaru1124

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