第5話 最終話 コングラチュレーションズ💓
「鐘のの音が聞こえる」
「ほんとだ。教会よ。ちょっと寄って行こう」
教会の前は広場のようになっていて、芝生が敷き詰められている。
ガクとレイが教会に近付いたら、ひときわ大きく鐘が鳴り響いた。
パンッ。パンッ。
ガクはピクッとした。
「大丈夫、クラッカーの弾ける音だから」
「クラッカー?」
「おめでとう」
「コングラチュレーションズ」
「おめでとうってどうして? 哲さんに、モンキー、顔なしさんも」
ガクは困惑を顔に浮かべた。
「おめれとうごじゃいます」
「やっぱりルナちゃんいたんだ」
ルナはガクに駆け寄った。
「あのね、レイちゃの結婚式ピンクのドレス買ってくれた。アクちゃに秘密。嬉しくてお口がモジョモジョしちゃった」
本当にルナちゃんにはヒヤヒヤさせられた。
道の駅ではナオさんが口を押さえて、危うくルナちゃんを止めてくれたからよかったけれど。分乗して車がついて来ているのがバレずにすんだ。
「レイちゃん!」
「ガクさん、怒らないで。いつまでもレイのプロポーズ受けてくれないんだもん。ガクさんがその気になるの待ってたら、レイお婆さんになっちゃう」
「だって、ぼくは目が見えないんだよ。レイちゃんに迷惑がかかる」
「迷惑かけたっていいじゃん。ガクさんのお世話するの迷惑だなんて思ってないし」
「誰かいます?」
「あっ、おれ一平」
「ひょっとして、ぼく白い服着てる? 家からずっと着てた?」
「うん。ずっと着てた。内緒だからって、ごめん」
レイちゃんが今朝、今日はこの服着てねって言って、着替えるのを手伝ってくれて。
だからなのか、道の駅でざわめきが起きたのは。
やっぱり、あのときルナちゃんもいたんだ。
「ここはレイの言う通りにしといてくれないかな。あいつ怒らせたらたちが悪いんだ」
「一平さん、たちが悪いって」
「ほんまに、みんなも盛り上がっていることやし」
「ナオさんまでそんなこと言って」
ガクは呆然と立ち尽くしていた。
「おれたちの頃を思い出すなあ」
「うん、って、うちら挙式してないやん。強引なのが大谷家の家風なん?」
「ナオさん、怒ってる?」
「怒ってへん」
「やっぱり怒ってる」
そこへ哲之介は杖をつきながら近付いてきた。
「あっ、お義父様、歩けるようになったんですね。良かった」
「ああ、ボチボチな。みんな元気そうやな」
「ガクさん、うちの両親」
レイが紹介すると、握手をしながら哲之介が言った。
「うちの娘をよろしくお願いいます」
ガクは一生手にすることのない、望むべくもないと思っていた幸せに酔いしれていた。
レイからプロポーズをされたとき、絶対レイの家族から反対されると思っていた。
それが、こんなに温かく祝福されるとは思ってもみなかった。
ガクの透き通った瞳が潤んで涙が零れ落ちた。
ルナの笛の音を合図に輪が作られ、ルナを先頭に輪が回り出した。
おんまがみんな パッパカはしる
パッパカはしる パッパカはしる
おんまはみんな パッパカはしる🎵
【了】
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございます!
また何か進展がありましたら、飛び出せルナちゃん、お目にかかりたいと思います👧
続編『🏡レイの思い💓』が出来上がりました。
こちらもお付き合い戴けると嬉しいです。
よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330660939539979/episodes/16817330660939664687
7🏡レイの恋物語💓 オカン🐷 @magarikado
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます