第2話 始まり
青年は目を開けた。
「すごいな」
新しい星はとても綺麗だった。空気も澄んでいた。
歩きだした青年の目に見える物全てが新鮮だった。
途中で生き物の群れを発見し、なぜか嬉しかった。
「あれは馬、、、なのか?」
馬のような、牛とも見えるようなその生き物は見ている途中までは普通だった。途中までは、、、
生き物は突然起き上がり二足歩行を始めたのである。
またなぜかわからないが、みないっせいに雄叫びをあげたのだ。
「グォおおおおお~!!!!!!!!!」
そしてなぜか自分を見ている。
「これもしかして、やばい?」
生き物の群れが二足歩行で走りながらこちらに向かってくる。
青年は恐怖を感じ走りだしたが、あっという間に囲まれてしまった。
円を描くように生き物は位置取りをし、その中央に自分がいる。
「いきなり終わるのか?早すぎだろ」
生き物のリーダーが声をあげた。
「お前はだれだ?なぜここにいる?」
言葉が話せることにも驚いたのだが、それ以上に自分が相手の言葉の意味を理解していることにも驚いた。
青年は頭の中で瞬時に考えを巡らせた。だが言葉にしたのはありのままの言葉だった。
「俺は別の星から来た。あっているかわからないが旅人のようなものだ。もし敵意がないならこの地について教えてくれないか?」
生き物は互いに顔を見合わせ、爆笑した。
「ハッハッハ!!! お前も旅人か?そりゃいいな」
「ここへ来てなにもわからないんだ。ここがどこなのか教えてくれないか?」
「教えてもいいが、一つ条件がある。」
「なんだ?できる事なら喜んでやるよ。」
「今夜のメイン料理にしていいかい?」
血の気が引いた。これは助からない。いきなり終了だ。でも、、、
さっきの言葉が引っかかる。
(お前も旅人か?)
生き物の雄叫びが響く中、青年は震えていた。
だが怖くてではない。ある種の興奮、武者震いに近い感覚があった。
「俺は必ず生き延びる。必ず。」
紐で体を縛られ、生き物の脇に抱えられながら彼らの村に運ばれた。
「ここはどこだっていう質問だったか?」
村に着いて中央にある鍋の隣に青年は置かれていた。
青年は頷いた。
「ここは星と言えば星なんだが、何千個、何億個の夢の集合体なのさ」
生き物は続けた。
「こんな身なりだが俺も他の星から来たのさ。神様には会わなかったか?」
青年は答えた。
「会った。そしてここへ飛ばされたんだ。」
「あの神様は可能性のある奴をこの星に送ってるのさ。」
「なんの可能性なんだ?」
青年の質問に生き物は答えた。
「あくまで俺の集めた情報なんだがな。この星は病んでるのさ。そうは思わないだろ?」
生き生きとした草原の真ん中で、青々とした空を見ながら青年は頷いた。
「この星にも神様がいるんだよ。そしてその神様が病気らしいんだ。だからこの星は病死に向かってるんだってよ。」
「そしてその未来を変えられる可能性のある奴をここに送り込んでるのさ。銀河からかなりの数を集めてな」
青年は考えた。
「じゃあこの星は俺たちのような旅人だらけなのか?いまいちよくわからないな。」
青年の問に生き物は答えてくれている。
「当たり前だがこの星にも先住民はいるぞ。あいつらは自分たちをモンスターと呼んでいる。
だが形は様々でお前のように人型もいれば獣型、エルフにドワーフなど様々だ。
そういう意味では面白い星だぜ。」
そして生き物は言った。
「俺はガルティだ。宜しくな。今夜のメインさんよ」
青年は答えた
「俺はランだ。短い付き合いだがよろしくな。ガルティ」
日が暮れはじめ、生き物たちの晩御飯の準備が始まってしまった。
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