あとがきと小ネタ


皆さんこんにちは天野月影です。

本来ならば近況ノートに書くものなのですが、出来るだけ多くの人に見て欲しかったので一話、付け足しました。


『カクヨム甲子園』を機に始めたこの作品、ミステリを書くのは実は初めてで、なので一章はなんちゃってミステリを書こうと思い、子供でも出来る心理トリックを交えてのものにしました。


実は一章のあのなんちゃって密室は、実は自分の体験していまして。

鍵が開いているのに鍵が開いていないと思い込んだ誰かが教室の前で立っていたので、クラス全員が教室に入れなくて、結局面白半分で開けようとした他のクラスメイトのお陰で、休み時間を全部潰す結果にならずにすみました。


さて、二章もとい前日譚である零章は、そんな一章の中でことましやかに囁かれていたとある殺人事件が登場します。学園探偵の始まり、そして白理有と無こと『白理彼方』との因縁が始まったのもこの事件がきっかけです。


実は私はこの零章は菜穂と有にスポットを当てようと考えていました。

流石に一章だけでは宙が目立ちすぎてしまって、菜穂が可哀そうだったので……笑

そして私が初めて『愛が重いヒロイン』を書いたキャラでもあります。


ヤンデレではありません。あくまで、愛が重いキャラです。


有を白馬の王子様みたいに見ていたので、結構な幻想を秘めている女の子でもあります。いや、いいですよね……愛が重い女の子って。自分もこんぐらい愛されてみたいなと思いながら書いてました。


有の辛さと取り巻く因縁。それを取り払う為に彼方は奮闘していく――その覚悟を表すための物語とも言っても良いです。

それは決して、彼が有から生まれた存在だからと言う訳では無く、有の善性に絆されてのものだと思います。


零章からは改めて矢車警部やシルヴィアなどといったキャラも出てきましたね。

矢車警部は、すこーし思い込みが激しい時もありますけど実は良い奴的な存在に書きました。本編では見せれませんでしたが、毎日のようにミノル君の所に足を運んでいったと言う裏話があります。


裏話と言えば、シルヴィアの話がありまして。


本編中でも書いた通り、彼は探偵としては優秀ですけど人間としては善悪と言えば悪に踏みかかっている善といった感じで、いい意味で頭がヤバい奴です。

本編中、彼は最初から『黄金郷の呪い』について知っていました。


『旧校舎にて』の回で、有は『そんな噂が流れるのは大抵理由がある』

と考えていましたが、それでは一体誰が『黄金郷の呪い』の噂を広ませたのか……。


はい、勿論シルヴィアです。

因みにシルヴィアが卒業して早々に外国に渡ったのもアイツらから逃げる為でもありました。


ではどうしてシルヴィアが何もせずにアイツらを野晴らしにさせたかと言いますと。

それは全て月見宙を探偵にするためでした。

あの時、シルヴィアは宙ならば真相に辿り着けると踏んで、事件を、試金石の様にあてがいました。


もう一度言います。


事件を、殺人が起こった、しかも自分の友人らを殺した男たちをしました。

確かにいつ逮捕出来るとはいえ、流石に倫理観が問われますね。

しかもシルヴィアには亡くなった友人らを今でも思っています。そこが怖いところです。


例え友人が殺されても、後々のことを考えてそれらを利用する。

終わった事はしょうがないから、それらを最大限活用させてもらうというスタンスです。


流石に人殺しはしてませんけど、人の生き死にはどうでも良いと考えてはいます。

それを薄々察していた宙と彼方君、グッジョブと言いたい所です。


まあでも、いざとなれば頼りになる男ですし、そんなところも素敵だと思う方がいれば嬉しいです(自分もそっち派です)


……宙と彼方との恋愛も描きたかったと言えば描きたかったです。

もしかしたらそういうのも出すかもしれませんが、報われない恋は作者も好きじゃ無いのです……。


涙の別れは似合いませんからね。文字通りのビターエンドとして終わらせていただきました。これから彼方君にはどんな困難が待っているのでしょう。相変わらず菜穂と有はいちゃこらしているとは思いますが()


有の幸せを願うのであれば、それは彼方の不幸(もとい死)を願う事になり。

彼方の幸せを願うのであれば、有は心の奥で数え切れないほどの罪悪感に向き合う事になる。


どちらか一方を幸せにすることしか出来ない状況の中で、貴方はどっちに幸せになってほしいですか?


みんなは大人だったので、そして彼方君は覚悟を決めていたので、幸せになるのは有です。


ですが――もしも、もしも彼方が自分の幸せの為に生きることになるのならば。

きっとその隣にいるのは宙なのかもしれませんね。


そんなことを思ったのでした。ここまでお付き合いありがとうございます。

もしもまた縁があれば、また会いましょう。


(ちなみに『彼方』という名前は読者様からのメッセージの中から選びました)



それでは! さようなら! この作品を読んでくれた皆さまが大好きです。

お相手は天野月影でした!

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名探偵は二人いる 天野創夜 @amanogami

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