ふはははは! 天才がいるぞい!

絵の芸術と、
車のレースアクション。

二本立ての物語です。
主人公の女性は、「色」の天才。怒涛のように、物語に色があふれだします。
太陽の色は? 月の色は? 怒りの色は? 死の色は?
色があふれて、まぜて、「けして違える事はない」
なぜなら、主人公は、色のッ、天才だからッ!

その、天才っぷりの熱量、半端なし。
読者は、主人公の放つエネルギー、怒涛の色への感性に、あっぷあっぷ、溺れそうになるほど。

で、ね。この物語、すごく「定型」を嫌います。主人公(女性)と、もう一人の主人公(男性)、運命が交錯しないようで、交錯し、でもやっぱり離れて……。ん? 恋愛もの……だよね? え?

誰と恋愛するの?

すごく、読めない展開です。
読者は、色の洪水と、男性主人公の「人生冷めた目で見てるよ」感に、翻弄されながら、ページを進める事になります。
先が読めないからこそ、スリリングです。

この物語を拝読していて、ははあ、この作者さま自身が天才肌だなあ、と私は思いました。

そんな、一風変わった、他でお目にかかれない、物語です。

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