切り開いて至った先
第57話 エピローグ
あの日、世界樹の上で何かが光ったあと、ドーム状の壁の中は魔力の光に包まれて地面を抉るほどの衝撃の後、中にいたヴェルトバウム人や連合軍の隊員達はもちろん、世界樹もヴェルトバウムの街も何もかも跡形もなく塵となり、巨大なクレーターだけが残った。
こんなことできるのは神かもしくはクルゥか。
私達は戦争に勝利しクルゥは英雄扱いされたが、同時に一緒に戦っていた連合軍を皆殺しにした罪を問われ、大罪人として指名手配されることになった。
あれからあの人を見た人は誰もいない。
ヴェルトバウムの外にいて生き残った魔術師達の見解は爆発に巻き込まれて亡くなったってのが相違だ。
もしクルゥが生きて帰れていたら貰えたはずの報酬金を持って私はティーナおばあちゃんの店まで足を運んだ。
あの戦いで生き残った者としてやらなければいけないことがある。
「おや、ソフィーじゃないかい。おや、その袋……まあ上に上がりな。いい食材が届いてな。一緒に食べようか」
ティーナおばあちゃんは袋を見て何かを察したのか2階の客間に案内してくれた。しかしお食事時に出向いてしまった。伺う時間を間違えたみたい。
「あ、ソフィーお姉ちゃん!」
2階の机にニナちゃんがいた。それと、机の上に大きな木箱が置かれている。これが食材なのでしょうか。
「ティーナおばちゃん、これ中に何が入ってるの?」
「それは開けてからのお楽しみじゃ。まあ大体予想は付くがの。この木箱、匂い消しの魔法がご丁寧に掛かっておる。おそらく肉か魚じゃな。しかし誰がこのような物を贈ったのやら。魔法師の知り合いは数えきれないほどいるが、贈り主の名前がないとはな」
贈り主の名前がない物を開けて食べようとしているのはどうなのだろうと思いましたが、ティーナおばあちゃんにとってよくあることなのか。
木箱を開けるとそこには塩漬けにされた魚が入っていた。ティーナおばあちゃんの予想通り魚だった。
「ほうこの塩、海で取れる塩ではないか? この魚も海の魚だったはず。しかし、海の近くで活動している魔法師の知り合いなんぞいたかのう。誰だっけ……」
「海? それってもしかして!」
ティーナおばあちゃんの言葉を聞いてニナちゃんはクルゥが海のある町に行きたがっていたことを話した。
私もクルゥからそのことを聞いていたので知っていたが、流石に贈り主がクルゥではないだろうと思った。
でも何かが私の中で引っかかった。
あの戦いでもし生き残っていて、1人だけ生き残ってしまって指名手配にもされてヴァルブルクに帰ることもできず、でもニナちゃんのことが大事で、こうして……。
考え過ぎだと思う。あの人はあの戦いで亡くなったのだから。
でも。
「ティーナおばあちゃん、先にお話をしてもよろしいでしょうか? 大事な話なので」
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数か月後。
私はニナちゃんをティーナおばあちゃんから買い取り旅を始めた。
家出である。
ニナちゃんと一緒にひたすら北へ足を運んだ。
海の見える町まで。
そして海の見える町アルステルゲンに到着した。
荷物が贈られてきた店まで分かったが店員に聞いても手掛かりは貰えず。しばらくこの町に住むことにした。
ニナちゃんは釣りをするのにハマって毎日のように漁師さんと釣りを楽しんでいる。今度は船に乗せて貰って船釣りをするんだとか。
私はというと、この町に来てずっと人探しをしている。
お金には困らない程の貯金があるため働かなくても良いが、そろそろ手掛かりの1つや2つ見つけたいものだ。
やはり、あの人はもういないのだろうか。
ぶらぶらと町を探索する。
「ここにきょろきょろしながら放浪している不審者がいると霊からきてみれば」
ドキッとした。
すぐさま振り返る。
そこには見慣れた長い金髪があった。
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読んで下さりありがとうございました。この本は私の両親から話を聞いて制作しました。人があんなでかいクレーターを作れるはずがない? 信じるか信じないかはあなた次第です! 現在私はニナおばちゃんが経営しているシューマッハ雑貨店で働いています! 是非買い物しに来てください! 以上お店の宣伝でした!
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