第2章 駆け出し冒険者編

第6話 冒険者を目指して

小屋から出た先は、森が広がっていた。


サイシアール 丘の小屋と言う場所だけはある。


ここは少し小高い丘のような場所だった。


森の先には、街のような物も見える。


「まずは、あの街を目指して進もう!」


この異世界に来て、まだ2時間?くらいかな?日はまだ高い位置にあるけど、あの街まで歩いて行くと3.4時間はかかりそうだ。


それにこの、森には危険な生き物はいるのだろうか・・・


・・・今日はここでブリンクの検証して、明日の朝に行くか、すぐに出発するか、今日はここで寝泊まりするか決めかねる・・・。


基本的に僕は前世ではネガティブ思考だった、最終的に行き着く先は現状維持。受け身の思考が強い、何かあったら動こうと。


でも、今回は今日街に行く事に決めた!夜になると魔物がきても対処出来ない。


小高い丘にあるこの場所は今でも少し肌寒い、夜になるともっと冷え込むだろう。


言葉が通じなければ、またそこで考えよう。


ブリンクを使えるという気持ちが、僕の心に余裕を持たせ自信を持たせてくれている。



僕は小屋に別れを告げて、山を下っていった。


そこからブリンクの検証をしながら、山を下る事になる。


いつ危険な生き物と出会っても逃げれるように、ブリンクの残り回数には気をつけている、逃げる用に4回。練習に使っていいのは4回だけだ。


時計がない為、感覚でしかMP管理が出来ない。


僕は剣術などの戦闘技能を何も取らずらブリンクに特化したステータスにした為、ブリンクを使用した戦いしか今は出来ない。


でもそれには自信がある。ブリンクでの戦い方、日本にいた時から夢に見て妄想していたのだ。そのスキルがある、映画、アニメ、漫画、小説、ゲームは一通り目を通していた。


先駆者のアイディアを、後は出来るか実践すればいいだけなのだ。その為の検証である。


ただ戦闘というよりか移動はとても便利だ。ブリンクを駆使すれば、山を下るのは簡単だった。それに何より楽しい!


ちょっとした崖もブリンクで降りる事が出来る、遠回りや道を探す必要が無く、小屋からほぼ一直線に降りる事が出来ていた。


森を抜け、平原になる頃には道のような物も確認出来た。その先には街が見える。感覚的に2時間も掛かってないかも。あっという間の移動だった。


石の塀に囲まれたその街は、まあまあ大きいようで、門には兵士のような人が2人立って、検問をしているようだ。


僕もその門の列に加わる。僕の前の人が検問されている感じだと、言葉は分かる為そこで一度一安心。

 

そして僕の番になり、門兵から質問を受ける。


「見ない顔だが、何しにきた」


「旅の者です、今日の宿を探してます」


「身分証、ギルドカードがあるなら出せ」


おぉ、言葉も通じてる。声に出して会話をするまでは、やはりそこも不安だった為セーフ。


「田舎から出てきたものでして、こちらで登録も兼ねて訪れました」


「そうか。なら通行料を貰うぞ、銀貨1枚だ。正し入り直す場合も再度通行料を貰うからな」


そして言葉が通じるならばと、予め決めていたセリフを喋り、ポケットから銀貨を1枚取りだし渡す。


「ギルドカードはどこで貰えるのでしょうか?」


「この道を真っ直ぐ行き、時計塔のある広場にある黒い建物が冒険者ギルドだ。他にも錬金ギルド、商人ギルドも近くにあるが、広場に町全体の看板がある、後は自分で探してくれ」


「ありがとうございます」


ぶっきら棒な態度のようだが、結構詳しく教えてくれた門番に感謝。


街に入ると門を後にし、真っ直ぐな広い道を歩く。


遠くに塔のようなひと際高い建物があるので、それが時計塔なのだろうとすぐに分かり、広場を目指した。


時計もあるんだ。どのぐらいの文明なのだろうか?電柱などは見当たらないが、通り過ぎる街並みはヨーロッパのような雰囲気だ、家同士の壁や屋根が繋がっているテラスハウスが基本っぽい。


街並みを見ながら時計塔に到着。そこは丸い広場のようになっていた。


その広場を取り囲む様に建物もカーブを描いて建てられている。ここが街の中心なのだと何となくそう思った。


そして周りを見渡し黒い建物を見つけ、その横にこの街の全体像の看板を見つけた。


看板へと向かい眺めると、要所である店やギルドの場所、教会のようなマークが描かれているのがまず目につく。


この街は外観から何となく分かっていたが、丸くなっているようだ。東西南北に門があり、門から時計塔までは全て一直線になっている。


かなり簡潔な地図だがなんとなく、この街の全体像がわかった。


とりあえず・・・宿屋はどこかな?と看板を見ながら指で追って探していると、少女のような声に声を掛けられた。


「お兄さん、旅人?」


「そうだよ、今日泊まる宿探しているだよ」


後ろを振り向くと、自分の腰ほどの背の少女が僕を見上げていた。


「そう!丁度いいよ!私のおうち宿屋なの!うちにおいで!」


異世界の定番かな?泊まったら、寝ている間に持ち物取られたりしないかな?


そんなネガティブな事を考えていたら、心を読まれた用に少女が続ける。


「そんな疑った顔しないでよ、寝ている間に見ぐるみ剥いだりしないよ、それに価格も良心的だよ!一度うち見に来て!そこで決めよう!」


少し強引だが、相手が少女という事もあり僕は言われるまま着いていくことにした。


現地まで行って、やっぱり辞めますって言えるかな〜?多分言い辛い雰囲気になるだろうな・・・


でも、他に場所も知らないし、値段次第?だが正直あてもないし渡りに船だと思う事にしよう。


「じゃあお願いしようかな」


「うん、こっちこっち!」


少女は宿につく間も、うちの料理は美味しいや、ギルドから離れているから、夜は静かなど、宿のいい所を説明してくれた。


看板から20分ほど北に歩いた場所、そこに宿はあるようだ。


門から一直線の道を外れ、路地に入ると一軒家の建物もチラホラある。


「ここがうちの宿です!落ちつきそうな雰囲気でしょ!」


その説明された宿は古民家の様な建物だった。


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