青春は1秒だって無駄にできない

物語の舞台は現代のアメリカのような国ですが、人間のいない、エルフやゴブリン、吸血鬼といった種族の暮らす世界です。
その世界らしい種族差別や貧富の格差、現代のような社会問題もありますが、やっぱり少年少女にとっては友情に恋といった人間関係、青春の悩みが大きいのです。

エルフに育てられたゴブリンのウィリアム、ゴブリンに育てられたエルフのビアンカ。
紳士を信条とする優等生とスラングだらけの問題児。
正反対でよく似た境遇の二人は、衝撃的な出会いから始まって、相棒として補い合い、そしてかけがえのない存在となっていきます。

二人とも家族や友達を本当に大切にしているのが台詞や地の文から伝わってきて応援したくなります。
その善意がクラスメイトにも広がっていく様にも心が温かくなりました。
多彩な文章表現が青春の華やかで悩ましい心情を細やかに描いており、惹き込まれます。
個性的な世界観が楽しい、真っ直ぐで王道のラブコメです。