ソロで山登りしてる女の子を変な男から護ってあげたら……うわあああ……

@HasumiChouji

ソロで山登りしてる女の子を変な男から護ってあげたら……うわあああ……

「おい、お嬢ちゃん、1人なの?」

 返事がない。

「おい、おっちゃん」

 背後から若造の声。

 喧嘩になると……厄介だ。

 休日に山に登ると、普段、忘れてる自分の本当の年齢を思い出してしまう。

「気にするな。あんなのは、弱いと思った相手にしか噛み付けない女の腐ったような男だ。俺みたいな男が一緒に居るだけで怖けづく」

 ……。

 前方に居る女の子は……気にしてないようだ。俺の事さえも。

 あ……マズい。

 そっちは……。

「マズい、そっち行くな、そっちは……」

「おい、おっちゃん……」

 うるさい。

 人1人の命がかかってるんだぞ。

 あのお嬢ちゃんが、崖から落ちる前に助け……。

「お……おっちゃん、待て〜ッ‼」

 えっ?

「ああああ……馬鹿かぁ〜ッ⁉ やめろ〜ッ‼」

 えっ? えっ? えっ? えっ?

 うわああああ……ッ‼


「ええ、山登り仲間の間では有名な人でしたよ。悪い意味でね。若い女の子と見れば、すぐに声をかけて、ウザがられてると判った途端に癇癪オステリー起こすような」

 登山中に中年男が転落死したのを目撃した、その若い男は、そう証言した。

「そんな厄介な人に出喰わした挙句、しかも、そいつが、ず〜っと、何か、意味の判んね〜事をブツブツ言い続けてたんで……すんげ〜気味悪くてしょ〜がなくて……何かヤバい事になるな〜、とか思いつつ、下手に近付くのもだったんで……ええ、崖から落ちた時に助けられなかったんですよ、ええ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ソロで山登りしてる女の子を変な男から護ってあげたら……うわあああ…… @HasumiChouji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ