ライトノベルが中高生を見なくなった。今では青い鳥文庫に中高生が集っている。それがライトノベル業界の衰退の根幹だと冷徹なデータと共に言い切る、中々読めない評論です。なろう系が氾濫してるから――などの垢に塗れた評論とは格別です。
僕は子供の頃から青い鳥文庫、それから電撃富士見スニーカーというお手本のような道を辿って育ってきた人間なので、それらの名前が散見されるこのレビューには凄く共感してしまいました。最近では買うのは昔のライトノベルばかり。挙句には昔夢見た理想のライトノベルを自分なりに書いたり。大人の自分でさえ今のライトノベルには興味が湧かない。中高生ならなおさらだろうと、評論を読みながら思ってしまいました。
ラノベ業界には若者を引き付ける夢がなくなった。要約するとこのレビューで言いたいことはそういうことで、それこそが今のラノベ業界の問題の本質なのだろうと僕は感じました。
表紙の過激化とか凄まじいですからね……。
本が好きな皆さん、物語を創作している皆さん、PVを追求している皆さん、書籍化を目指している皆さん、そして本を作っている皆さん。
とにかくまずはお読みください。
ラノベは今どうなっているのか? 中高生はどんな書籍を求めているのか? 書店はどうなっているのか(コレは日本以外でも似た傾向があると言えます)? そして図書館はどうなのか? 身も蓋もないような論説が皆さまを刺激すること間違いなしです。
その主張に絶望するのか、反論するのか、淡々として受け入れるのか、関係ないやと我が道を行くのか、それともそこに希望を見出すのか。
どんな捉え方でも、ほんの少しだけ世界の見方が変わることでしょう。本当にオススメです。
知りたくはなかった。
内心そうなのだろうな、と思いつつ、やはりそうであっては欲しくなかった。
そういった事実が、記載されている。
だが2話以降の作者様の(堅苦しくはない)分析や言い回しによって、この作品はただ苦い汁を飲ませるだけの話から抜け出せていると思っている。
事実や正論は冷たいものが多いので、この点は実にありがたかった。
読んでいて思った箇所は2点ある。
①同窓会の魅力を感じる子供達がいるのか?
この作品ではそもそも現代のライトノベルのターゲット層が、本来あるべきものから逸れている、という話を取り上げている。
内容を読み進めていった際、クレヨンしんちゃんの映画で風間くんが言っていた「懐かしいってそんなにいいものなのかな」という台詞が胸をよぎった。
「夢」や「希望」「純粋さ」が子供向けアニメのテーマになるのは、確かに「そうなってほしい」という大人たちの願望もあるのだが、
そもそも「未来」が大半であろう少年少女にとっては、「過去」を含めた概念はどうしても直感的に把握しにくいからなのだとも思っている。
追放も、ざまあも、復讐劇も、転生も、その目的は「暗い過去の克服(リセット)」なのだ。
大体それが解消してしまえば、物語の主目的は完了される。
雰囲気が明るい暗いは関係なく、その軸は過去に向いている。同窓会や懐かしさのようなものと同類だ。
それを噛み締められるほど、本来の対象となる子供達は大人びているのだろうか。
②「お手本」の飽和状態
今は昔に比べて、実に間口が広くなった。
情報を手に入れるのに図書館や書店に寄る必要がないし、要約・マニュアル本の存在により、理解に膨大な時間をかける必要もなくなった。
原稿用紙に文字を自筆で書いて、それを郵送なり手渡しなりしなければならなかった時代と比べれば、遥かに物理的・心理的なハードルが下がっている。
それ故に、誰でも入賞へのチャンスを胸に抱くことが出来、実際に「ゴールへの近づき方」「お手本の作り方」という指南書が多数生み出された。
結果として「お手本のような作品」が多数生み出されたに至ったのである。「どのお手本をお手本とすればよいか分からない」というのは現代ならではの贅沢な悩みかもしれない。
これは邪推にはなってしまうが、レビュー時点の最新話「ラノベの書き手はラノベをたぶん買ってない」というタイトルは、恐らく正しい。
正確にいうならば「無料のお手本」は参考にしているかもしれない(買ってはない)。
個人的には「お手本」を一定満たすは前提で、そこからはみ出た部分こそが、その作品の個性だとは思っているのだが、その部分を教えてくれる教本は存在せず、作者の感性や人生経験によるものに依存すると思われた。
出版社が中高年を優先させたせい? というのは、どうだろう。
現在のライトノベルって、書き手を発掘して育てて本を出すというサイクルだろうか。
外野で見ていると、なろうやカクヨム、その他無料投稿・掲載サイトで人気が出たらそのまま出版という流れのように見える。自生していた野草を換金したら儲かっちゃったみたいなモデル。そのうえで打ち切りがやたら多くて作者と読者の両方の気持ちを削ぐというのは全く同感。
とすると、元となる投稿作品が中高年向け(過去うけた作品の二番煎じ)になっていて、新しい世代の投稿者が育っていないということじゃないか。
ざまぁ系とか刺さる層には深く刺さったからジャンルが発展したんだろうけど、反対に興味がない層は去っていってしまった。追放ざまぁや婚約破棄というテーマが中高生の興味を引きそうな気は全然しない。