私を救うために

涼風

第1話

私は、将来人を救いたいと思っている。

きっかけはいきなり現れた少女に言われた一言だ。


ヒーローみたいに優しくて、強い人間なら

また違ってたのかな。

こんなに役たたずじゃなかったら…


誰もいない藍色の空に独り呟いた。


その時、きみは突然現れた。

ただ、紫色を含んだ、夜空のような目がこちらに向いていた。

不思議と驚きや怖さなんてものは無かった。


「ねぇ、将来の夢は何?」


そんな声が聞こえた。

太陽のように暖かく、優しい声だった。


「分からない」


私はそう答えた。


「そっか…」


君は少し寂しそうにそう言った。

それからは何気もない話をした。

このキャラが好き、あのアニメの最終話

今日はあいにくの雨


「明日は晴れてるといいな。」


私は思わず呟いた。


「ねぇ…将来の夢は何?」


きみがまた囁いた。


「人を…救ってみたい。」

「誰かの役に立ちたい。」


思わず声を上げた。

きみに言ったはずの言葉は、独り夜空に溶けて行った。



「君ならきっと、人を救えるよ。」

「頑張ってねヒーロー。」

なんだか、そう聞こえた気がした。


君は一体何者で、私をどうしようとしてたのか

それは、あの日の夜に閉じ込められたままだ。

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私を救うために 涼風 @suzu__77

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