ヒトには誰しも秘めた過去がある

主人公は、過去に親友を凄惨な事件で亡くした過去がある。その時の心理的ショックから、彼女は自分の成長を止めてしまった。
そんな彼女が高校生になり、友だちになりたかった人が学校で投身自殺をするという現場に遭遇するところから始まった。

前半戦は、何故飛び降りたのかを通して、今まで籠りがちだった彼女が、止まった時から一歩を踏み出していく。
その際に、主人公がなかなかぶっとんだ主治医に背を押されつつ、仲間を増やしつつ一歩一歩調査する姿は、頑張れと応援したくなった。
また、保健室登校について話すシーンは純粋に、「たしかにそうだ」と驚くことも多かった。
後半戦は、時を経て主人公の時を止めていた事件が大きく動き出す。何故今時が動き出したのか、何故昔あの事件が起きたのか。読む度に「まさかそんな」と最悪な想像が膨らんでいく展開に、ページを次へ次へと進めてしまった。

でも、今の彼女は、幼き頃とは違う。
時が進み始めた彼女は、仲間たちとともに、どんな真相にたどり着くのか。

人間の弱さと強さ、高潔と業、過去と今と未来。
それが全て集まって形成された、是非読んでほしい作品です。

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