あとがき
お話を読んでいただきありがとうございました。
この物語は皆様にとって、面白い、興味深い、といった感想を抱く作品でしたでしょうか。私個人としては、凄いモノが書けたという自負が少なからずあるので、皆様がどういった感想を抱いたか教えて頂ければ幸いです。
以下はネタバレ有で色々書きたいと思います。
もしも最初にここに来てしまった人がいましたら、お願いですから1話から読んでください。
自分で自分の作品を説明すること程恥ずかしい事は無いのですが、映画のメイキングやNG集が大好きな人間なので、そんなノリでお付き合い頂ければ幸いです。
この作品を書くにあたって、4つの目標がありました。
1つ目は必ず完結させる事。
恥ずかしながらこの作品が私にとって初めて完結させた長編の作品です。
滅茶苦茶面白いのにエタってしまった作品を沢山見てきた人間の一人として、必ず完結させることは至上命題でした。打ち切りっぽい終わり方ですし反省も多いのですが、フィオナを追放した所までが1つの作品でそれ以降は別の物語という認識のため、この目標はクリアできたと思います。
実を言うと、父親が再登場して子爵家のしきたり云々を持ち出して強制的にレオナルドを王都から連れ戻し、冒険者として旅立たせるエンディングも考えていました。これから王家とやり合おうというのなら、魔晶石は一つでも多く確保しておく必要がある。的な理由で。
このエンディングならエピローグで、イルティナとフィオナのコンビとは絶対に遭遇出来ない水魔法の使い手の話が伝聞で伝えられる。なんて事があっても面白そうだと思っていました。
ただレイヴィンの存在がここまで大きくなってしまった以上、彼女を残して冒険者にはなれねぇよなと思うので、彼は苦手な貴族世界で四苦八苦を続けるのだと思います。
2つ目は完全に主人公の視点だけで描くこと。
1人称視点で描く物語でも、○○sideとヒロインの視点や他の登場人物の視点から主人公がどう見えたかを描く物語は多いです。個人的にそういう作品は好きですし、マスターシーンが無いとお話が整理されないというのも分かっているのですが、まるで自分が主人公になったかのような、どっぷりと物語の世界に浸かったお話が読みたくて今回主人公の視点からのみでお話を作ってみました。
お陰で、まぁ分かりづらくて読みづらいw。
それに主人公が積極的にお話を引っ張っていくタイプではなく物事に対処していくタイプの主人公の為、説明も感想も進行も全部主人公一人で行うためかなり説明が多いお話になってしまいました。
自分が設定好き、というのもあるのですが。
3つ目は出来る限りテンプレは登場させないこと。
悪役令嬢もののストーリーラインにがっつりのっかっている自分が言える事では無いのですが、出来る限りテンプレ的な展開や登場人物は廃そうと思っていました。
もっと具体的に言えば、チート能力を登場させたくないという思いです。
炎魔法が思いっきりチート能力ではあるのですが、それで問題が全て解決するお話にはしたくなかった。それが魅力的ってお話も大好物ではあるのですが、それだけで問題が解決できてしまうとお話がどんどんどんどん広がりすぎてしまうため、出来る限りコンパクトなお話にしようと思ったわけです。
そうはいっても、戦争を早期に解決してもらうため、遺憾なくチートを発揮してしまった訳ですが。
ただやはり書いていて、テンプレやチートはこれだけ人気になる理由も痛いほど思い知りました。
無いと物語が全然進展しないw。
次を書くとしたら、必要な要素は取り入れたいなと思います。
4つ目は脳内貴族世界を整備する事。
貴族、というモノが出てくるたびにその国の貴族制がどんなものなかの気になって仕方なかった人間でしたので、自分が書く小説ではこの辺りを明確化した作品が書きたいと常々思っていました。
参考にしたのは、江戸時代末期の大名制。
1万石以上の石高がある領主が大名として認められる、とは昔から知っていて、実は9千石の旗本の方が裕福であるというのも聞いていて、その辺りを貴族制に落とし込めたら面白いと思いました。
また、豊臣政権が徳川家を臣下に加えたまま平和な時代がやってきたらどうなるだろうという妄想も良くしており、必ず徳川を誅殺するよな、という結論がこの物語のベース的な妄想になりました。
この位の力関係であることをもっと明確に描きたかったです。
ここまでが書くまでにあった目標です。
この先は書く途中に取り入れていった要素について、少し解説したいです。
まずこの物語はプロットも時系列も登場人物も、何もかも白紙の状態で書き進めてしまいました。序盤と後半では設定に無理が出ているのはその性です。最初に決まっていたのは、フィオナという悪役令嬢から逃げようとするけど逃げられないお話で、監獄で手を繋ぎながら最後に会話をして心が通じ合ったような気がするものの、運命の赤い糸ではなかった。と言わせる事だけです。
それだけで走り始めてしまい、何故彼女が悪役令嬢になっていったのかを描くお話にしようと思いながら描いていました。
あと、『悪役令嬢を追放しないと死んでしまう件』のタイトルどおり、主語をどちらにも取れるようにし、彼女を追放しないといけないお話にすることも書き始めの段階ですぐに思い至りました。
なので主人公が彼女を追放するだけの権力を持つ必要がある為、ドラゴンを召喚する方法を探るという展開も盛り込み、これを解決することで彼が影響力を持つ筈だったんですけれどグダグダになってしまいましたね。
おまけにヒロインが追放されたとはお世辞にも言える展開じゃないし、そもそも追放したの主人公じゃないし、と。反省点は多いです。
ただ、いい点だけを見れば皆が何とか生き延びさせようと画策するくらいには、好感度が高いヒロインになったのではないでしょうか。ということにしたいです。
劇中劇の1幕と2幕。
これは半分成功、半分失敗だと思うのですが。
劇中劇とヒロインの人生が似ているというのはかなり意識して書いていました。
1幕は同じだけど、2幕でフィオナは家を裏切る事は出来なかった。その対比として、2幕はWキャストくらいのテンションでレイヴィンに担ってもらう事にしました。
彼女が王家側の人間だというのは登場時から描いてきましたし、それ故に最後に王家と実家を裏切るから私を愛して、という件はもっと感動的に描きたかった。
主人公が実家に戻るパート。
ここも書き始めた時は全く思っていなかったところです。
ただ主人公が冒険者と言う夢と貴族という現実とに揺れるお話になる事は早い段階で分かっていたので、急遽入れる事にし、主人公が守らなくてはいけないものとしての説得力になるかと思いました。
しかし要らなかったかなとも思います。
朧気に思い出す前世と炎の魔法。
私自身の思想というか宗教観も入ってしまうのですが、といっても日本人であれば普遍的な考え方だとは思いますが、輪廻転生があり前世があるなら前世の業も担うべきだと思い、繰り返し描くことはありませんでしたが前世では実家の家業を継いだけど失敗した、今回はそれ故に冒険者と言う夢を追いたいが結局引き継がざるを得ない、という流れは、ちょっとそういうものを意識していました。
狂って家に火なんかつけるから、炎魔法と親和性が高すぎて強いけど苦しんでいる。
明確に描くことはありませんでしたが、読んでるとなんとなくリンクするものとして解釈できるような組み合わせになっていたら嬉しいです。
前半。
前半部分は書き直したい所で一杯です。
メリーナ領とラリーサ領。
メリーナ領で統一する必要があります。ちょっと時間が出来たら全てを統一したいですね。
イルティナとの別れのシーン。
ここで、ツレを待たせているから。と彼女が言うシーンと、馬車に向かって彼女が去っていくときに中の人影と目が合ったような気がする、というシーンは公開した後に入れ忘れていた事に気が付きました。
これは完全な大失敗ですね。
加筆をするのであれば、このシーンは必ず入れると思います。
主人公の魔法の力をもっと分かり易いモノに。
国家錬〇術師、じゃないですけど、魔法の能力がある彼は国から認められた資格がある。という設定を盛り込むべきだったと今は強く思います。これがあれば、主人公が貴族階級でありながら勝手していることに、自由を望み体制に反逆的である以外の理由が乗せられたと思います。
加えてユリ様が彼にしきりに魔道具職人を勧める降りにももっと整合性が取れたかと思います。
アリーさんについて。
読んでいる方にとっては、突然できてた人物がラストを持っていた。という認識なのではないかと思います。
ただ作者的にはこの設定がぼんやりと頭の中にあり、最初のフィオナとのデートの降りで重要人物でもないのに名前を出したのはその為です。
きっとフィオナsideがあれば、アリーをもっと描写しその親密さを描くことで、彼女がフィオナの身代わりになる事に彼女の様々な思惑があったことがもっとシンプルに描けたのではないかと少し後悔があります。
侯爵家の人間として認められていなかった彼女は、フィオナの身代わりになり処刑台に立つ事で侯爵家の人間として死ぬことが出来たんだよ。
これをもっと分かり易く描きたかった。
というか、アリーさんを身代わりにすることにとても了承するとは思えないフィオナが何故それを承諾したかも全く触れていません。一応、祖母の実家に助けを請う事で、彼女の存在が対王国の大義名分になる、という一文は入れたつもりではあるのですが、それだけでは説明がついていませんね。
実は40話を書き終えて、眠気MAXのテンションでこれを書きなぐっています。
今までも出来る限り毎日投稿を、という想いでロクに推敲もせずにアップしてきたので今更ではありますが、こんなごちゃごちゃした脳みその状態で書きなぐってしまいました。
お見苦しいモノをお見せして申し訳ありません。
物語を書き終えた今、ぱっと思いつく点が以上となります。
実はこれから作者自身この物語を頭から読むのですが、きっと吐き気がするくらい出来が悪いんだろうなぁと思います。ですが、楽しみでもあります。小説を書くのはとても大変で難しい行為ですが、実に楽しかった。
それにこの作品は私の頭の中にあるものをそのままぶん投げた作品ですので、もうこういう作品は作れないし作ってはいけないと思うので、楽しみたいと思います。
次を作る時はもっと読みやすいお話を心がけなくちゃいけない、的な意味でこういう作品は作ってはいけないと思う訳です。
また繰り返しになりますが、皆さんがこの小説にどんな感想を抱いたか教えて頂ければ本当に嬉しいです。
星を付けていただくとその日幸せな気分になりました。応援のハートを付けて頂いただけで読んでくれている!とすごくテンションが上がりました。
感想は書くのはちょっと、という人もここまで読んだという記念碑的に、何かしらの足跡を残して頂ければ幸いです。
なんとなくシメの雰囲気が出ていますが、恐らく読み終えると修正点や加筆したい点は大量にあるでしょうし、終わり方に納得が行かず41話を作るかもしれません。
ですのでまた何かの拍子にチェックしてくれればうれしいです。
書けるかどうかは分かりませんが、こういう物語が読みたい、というリクエストもいただいてみたいなと思います。
8月中は忙しいので恐らく無理ですが、他にも書いてみたい題材が有ったりします。
ですので、またどこかで私の作品に出会ってくれたらと願ってやみません。
悪役令嬢を追放しないと死んでしまう件 二桃壱六文線 @nakasugi
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