第六話 サラ・初日
更新が遅れてすみません。
今回は別視点の話、楽しんで頂けたら嬉しいです。
こういうのは結構好きでぼちぼちと入れるつもりです。
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初めまして、九歳で名前はサラです。
私のお父さんは領主様の果樹園で働く農夫である故、よく仕事からいくつかの果物を持って帰ってくる。果物が大好き!
一方、お母さんは家で私達と家庭菜園の世話をしている。
私には四歳な妹がいて、普段はお母さんが菜園の世話をしている間は私が妹の面倒を見ている。
もう少しで日が暮れる時間帯でお母さんは晩御飯を作っている、そろそろお父さんが仕事から帰るはず。今日は果物を持ってきてるかな。
「ただいま!」
あっ、お父さんが帰ってきたんだ!
「おかえり、あなた」
「おかえり、お父さん!」
私とお母さんはお父さんを出迎えに行った。果物を持って来てないようだ、残念。
今日はなんかお父さんが真剣な顔をしてるね。
「今日はご飯の後重要な話がある」
と言った。どうしたんでしょう。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
夕食後、お父さんの話を聞くために全員がテーブルに残っていた。
「ご息子のために年の近いメイドを領主様が探しているとらしい。そして身内にその年齢層に女の子はいないかと聞かれた。九歳の娘ならいると言ったら、十分だそうで明日は面接のために屋敷に連れて行って良いだそうだ。どう思う?」
「まぁ、確か領主様のご息子様は六歳でしたね。サラは妹の面倒をよく見ているし、いいんじゃない?領主様のご息子様の専属メイドなんてとても光栄です、サラどう?」
「メイドって屋敷で働くあの黒白服の人達だよね?具体的どうするの?」
お父さんと屋敷を訪れた時はあちこち動き回っているのを見たと思う。
「この場合、専属メイドになる訳だから大体、着替えの手伝いや給仕、お使い等、ユーリ様の世話をする事だ。どう?やってみる?」
って事は妹のように領主のご息子の世話をしたらいいの?妹ならいいんだけど他人なのはちょっと。。。お父さんやお母さんは私にどうして欲しいのかな?
「お父さんとお母さんはどう思う?」
「貴族の専属メイドとはとても光栄な事だよ。それに、幼少から世話をしていたら気に入れられる可能性が高い。そうなったらサラの将来は安泰よ。」
「確かに領主様のご君寵をいただけるのは素晴らしい。サラがユーリ様のメイドになったら間違いなく領主様のこの家族への評価が給湯するだろう。ただ、それはそれとして、やりたくないなら無理とは言わない。どうする?」
「ん〜。。。じゃあ。。。やってみる」
「そうか、それは良かった、明日は屋敷に行こう」
笑顔でお父さんは言った。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
翌日、面接の為にブラボ家の屋敷に来ていた。
まずは家事能力についてメイドさんに聞かれた。いつも家でお母さんをお手伝いをしているからそれに関しては大丈夫なはず。
その後渋いなお爺さん、執事というらしい、にマナーについて聞かれたけど正直さっぱりだった。大丈夫かな?
そして最後に領主様と奥様自身と話をすることになっちゃった。私のような平民な子供が領主様と奥様の相手をするなんてあんまりじゃない?内容自体はただの世間話だったが緊張しすぎてちゃんと話せたか知らない。というか、なにを話してたかすら覚えてない。
その後、後日に合否の連絡が来ると言って解散になった。
そしてほぼ一週間後、お父さんは満面の笑顔で帰ってきた。
「サラ、やったぞ!合格だ!これからお前はユーリ様の専属メイドだ。おめでとう、お前は俺の誇りだ!」
そう言いながらお父さんは私を抱き上げてきた。とても嬉しそうな顔をしてる。
「まぁ、サラおめでとう!流石は私の自慢の娘。」
そう言ってお母さんも私を抱いてきた。
そんなに嬉しいならやってみたのは良かったと思う。
「???えっと、おめでとう、おねえちゃん!」
妹だって状況を今一つ分からなくても私を祝ってくれた。可愛い。
暫くしてお父さんは私を下ろして続いた。
「選抜されたと言ってもまだ修行が必要らしいけどな。明日から毎日屋敷に修行に行ってある程度の事を学んだら側で修行を続きながらユーリ様の下で働くことになった」
「分かった」
「きっと大丈夫よ。サラは賢いし、いい子だと見せてきなさい」
「はい、頑張る!」
選抜された事にお父さん達は超喜んでいた。期待に応えるように頑張らないと!
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
ほぼ一ヶ月の修行の末、遂に私が仕えるであろう人と初めて顔を合わせる時がきた。
領主様のご息子で六歳、名はユーリ・エプシロン・ブラボとしか知らない。
あと、ちょっと寂しがり屋で彼の相手をする為にのが専属メイドを付ける理由の一つらしい。
どういう人なのでしょう。まあ、六歳だし、案外妹とあまり変わらないかもしれない。
領主様の書斎で待っているとドアがノックされた。
「お父様、ユーリです」
「入って良い」
「失礼します」
許可を得て小さな少年がドアを開けて入ってきた。
黒髪で一つの白いメッシュがあった、宝石のような青い目。入ったら彼は私に気づいてこっちを向いた。
「この娘は君の専属メイドを務めてもらう。自己紹介をしなさい。」
「お初目にかかります、ご主人様、サラと申します」
彼に仕えるからご主人様と呼ぶように教えられた。
「初めまして、サラ。ユーリです。」
と穏やかに挨拶を返した。ちょっと意外。この年の子供はもっとバリバリだ思っていたがそうじゃなかった。貴族だからかな?
「サラはこれからお前の世話をする。しかし、彼女はまだ教育中だから常にお前と一緒にいる事はできない。」
「分かりました。」
「じゃあ下がって良い」
「了解。行きましょう、サラ」
「はい、ご主人様」
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
ご主人様の部屋に連れられてソファーにつくように言われたが、ご主人様の前で席につくなんてとんでもないから遠慮しょうとしたけど、ご主人様が強情を張って従うしかなかった。
そして彼が言い出した、
「これからサラは俺の下で働く訳だが、その前にちょっとした会談をしよう。お父様曰くサラはまだ教育中と言う訳だが、具体的に今は何ができる?」
その時、彼の雰囲気が突然変わってしまった。ただの穏やかな子供から、なんかこう、言葉にするのは難しいけど、「貴族」になった。突然領主様と話していた時のように体が緊張で強張った。
私は値踏みされている。お父さん達は私に期待している、最初からダメ出しされる訳には行かない!
「給仕、したり、着替える、のを、手伝ったり、お使い、したりできます。。。」
なんとか絞り出せた。
なんと言っても、修行を始めてから一ヶ月も経っていないし。最低限の言葉遣いや簡単な作業しか教わらなかった。がっかりしているかな?私は初日で解雇される?ごめんなさい、お父さん、お母さん。
「そうか。今はなにか学んでいることがあるか」
「洗濯。。。」
「何歳?」
「九歳です」
この年でもっと出来るはずだと思っているのかな?仕方ないもん。修行を始めてから一ヶ月も経ってないもん。
しかしそこで彼の雰囲気が元に戻って笑顔を浮かべて「予想以上」だと言ってくれた。セーフ。
その後読み書きができない騒動もあったが全体的にご主人様との最初の接触を乗り切れた。私はできる娘なんだ!
その後、ご主人様は私に屋敷を案内してくれた。いくつかの場所は教えられていたけどご主人様は全部私に見せた。というか、この大きな物件を全部手に取るように知っているわね、ご主人様は。
部屋に帰っている途中でご主人様のお姉さんと出くわしたけど彼女は何故か私の方を睨んでいた気がした。。。
自己紹介し合ったが、「弟をよろしく」と言われた時になんか言葉に圧が乗っていたけど、ご主人様が魔導書の事を聞いたらそれも消えた。
ご主人様は話を聞いて自分の魔導書を注文すると決めた。魔法が使えるかも聞かれたけど全く分からない、そもそも私のような平民が魔法とは無縁だし。
勿体ないと言われたけど、それにどう反応すれば良い?。。。
そして、私にも魔導書を注文すると言ってきた、言ってしまった、どうしよう。。。
その後、ご主人様は領主様の書斎に向かい、中に入ったら第一声は私に不満があると領主様が聞いてきた。
えっ?そうなの?やっぱり駄目だったの?私。。。
幸い、ご主人様は直ぐにそれを否定してくれた。良かった。
そして遂にそれを言ってしまった。私の様な平民にも魔導書が欲しいと。それを聞いて領主様の雰囲気が一瞬で変わり私を睨んできた。心臓が止まるかと思った。私がご主人様を騙して彼を注文させたと思ったらしい。
でもご主人様が即座に間に入って私を庇ってくれた。助かった。
それでご主人様と二人で話したいと退室する様に言われた。
それに不安になった。ご主人様が泣きを見たらどうしよう?私恨まれないの?やっぱり初日で解雇されちゃうの?
幸い、数分後二人が部屋から出た。問題ないようだ。そして今から私達は魔法試験を受けるそうだ。
まさか魔法を使えるようになるの?私のような平民が?
それで私達は地下室に連れていかれた。めっちゃ。。。暗くて。。。寒い。。。部屋だった。
あちこちに不気味な石像がいてとても怖かった。
なんなのここ?こんなとこに何しに来たの?影にお化けがいたらどうするの?全員食べられちゃうの?
しかし、前を向いたら、ご主人様が結構悠々としていた。あちこち見回していたけど、怖いというより景色を楽しんでいるように見えた。どうしてこんな暗闇の中でこんなにも平然といられるの?凄い。
そして私達は奥の石のテーブルの前に足を止まった、ここで魔法才能を試されるらしい。先ずはご主人様から行って彼はとても自然と、自信溢れる様にしていた。貴族の子だとこうなの?私自身は結構緊張しちゃってる。
そして彼の後、私の番が来た。。。しかし、
「えっと。。。今更ですけど、本当に宜しいですか。私のような平民が。。。」
私のような一般人が魔法を?そんなの聞いた事ない。
使っても問題にならないの?家族だって巻き込まれたら。。。
領主様とご主人様が大丈夫だと言っているけどその代わりこれから仕事に頑張らないとと。
頑張る!
でも先ずはそもそも使えるかどうか確かめる事だね。
どうしたら良いかさっぱり分からないけど?!
どうやら自分でうかがい知るべきだそうだ。正直、成功して欲しいか分からない。
出来た!。。。それが良い事だと良いな。。。
ご主人様が労ってきてくれたし、どうやら私も魔導書が貰えるらしい、まあいいか。
その後、領主様がちょっとした魔導書についての注意事項を説明した後私達はご主人様の部屋に戻って行った。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
部屋に着いたらようやく覚悟を決めて訊いてみた。
「本当に宜しかったのですか、ご主人様」
「何がですか」
「その。。。私にも魔導書をお願いすることです。私のような平民が魔法を使うなど、聞いたことが御座いません」
「大丈夫ですよ。便利そうなのは本当ですし、それに。。。」
「それに。。。?」
「魔法を使うのは超楽しそうだと思わない?そんな大魚を逸したら多分後悔しますよ?だから一緒にそれを楽しみましょう!」
そう言って私は人生で一番純粋で美しい笑顔を向けられた。
眩しくて多分いつまで経っても忘れられない笑顔だった。
そしてそれにて、サラは仕事で初日を終えた。
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お読みくださりありがとうございます。
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