『ある家族を襲った未知の生命体による襲撃事件と異世界から持ち込まれたアイテムに関するFBIレポート』
名無しの報告者XXX ▋: ^ )
――本文
◤◢◤◢【CONFIDENTIAL FBI REPORT】◤◢◤◢
件名:ジョンソン家怪物襲撃事件
記録番号:██-███
捜査機関: 米国連邦捜査局 (FBI)
概要:
██年█月█日の夜、地元当局は、事件のあったジョンソン家の自宅で働いている家政婦からの通報を受けた。内容は謎の怪物が家に現れ、家主の娘[メアリー・ジョンソン]を連れ去ったと言うものだった。警察が到着すると重傷を負ったメアリー氏の母親[サラ・ジョンソン]が、意識不明の状態で横たわっているのを発見した。家内は広範囲に渡って荒らされており、壁や床には大型動物に付けられたような爪痕や、人間の物とは思えない足跡が残されていた。警察は、専門的な支援が必要と判断し、FBIが捜査の指揮を執ることになった。
FBIが事件現場に残された爪痕や足跡などを丹念に調査した結果、興味深い情報が明らかになった。
まず、爪痕は非常に深く、鋭いものであることが判明した。これは、通常の動物の爪ではなく、かなり大型で凶暴な生物のものである可能性を示唆していた。また、足跡の大きさや間隔からも、かなりの体格を持つ生物であることが分かった。さらに、足跡から推測される特徴的な形状や指の配置は、既知の動物のそれとは異なっており、未知の生物種が関与している可能性を示唆していた。
このような興味深い発見をきっかけに、捜査当局はこの未知の生物の起源と正体を突き止めるための取り組みを強化した。専門家と協力し、類似の生物や似た特徴を持つ存在についてのデータベースを調査した。さまざまな動物学や生物学の専門家からの助言を得ながら、この未知の生物の特定や正体の解明に向けた作業が進められた。
事件から5日後、入院中のサラ・ジョンソン氏の意識が戻ったという報告が入る。直ちに、情報を収集するために徹底的な聞き取り調査が行われた。
事件が起こる数時間前の夜、その時、母のサラ氏は一階におり、一方の娘のメアリー氏は家政婦とともに2階にいた。すると突然、2階からガラスが割れるような音や家具が倒れるような音が聞こえたとサラ氏は証言する。彼女はこの異変に気づき、原因を確認するために急いで2階に向かった。2階に到着したサラ氏は、そこで外側から突き破られたように破られた窓と、何者かによって荒らされ、部屋中に家具や物が散乱している光景を目の当たりにする。壁際を見ると怯えた様子のメアリーと家政婦が身を寄せ合っていた。そして、サラ氏は見たこともないような怪物と遭遇した。サラ氏の証言によるとその怪物は人型で、筋肉質で皮膚のないグロテスクな体をしていたという。怪物は手に生えた大きく長い獣のような爪を使って、部屋中を荒らしまわっていた。サラ氏とメアリー氏、そして家政婦の3人は怪物から逃れるために一階に逃げ込んだ。しかし、怪物もまた、3人を追いかけて一階に降りてきた。怪物が近づき、側にいたメアリー氏を捕らえた際、サラ氏は勇敢にも娘を取り戻そうとしたが、怪物は彼女を太い腕で跳ね返した。サラ氏はそこで怪我をし、娘を取り返すことができなかった。怪物はそのまま一階のリビングにある窓を突き破って、メアリー氏を連れたまま、夜の闇へと消えていったと言う。
その中で、夫[デビッド・ジョンソン]がある研究に没頭しており、研究室に閉じこもりがちであったことが明らかにされた。サラ氏は、デビッド氏がどのような研究をしているかは知らなかったが、その研究に対する執念と執拗なまでのこだわりを目の当たりにして、次第に不安を募らせていたという。サラ氏はその研究室で一瞬、奇形化したマウスを見た事があり、その見た目が今回遭遇した怪物の見た目とどことなく酷似していたと語った。FBIは夫デビッド氏とジョンソン家を襲撃した謎の怪物になんらかの関連性があるとみて捜査を開始した。
サラ氏の証言と協力の元、FBIは、[編集済]の森の中に建てられている老朽化した小屋の地下に、デビッド氏が通っていた秘密の研究室が存在することを突き止めた。地下は入り組んだ迷路のようなトンネルで構成されており、複数の分岐点が存在していた。分岐点にはそれぞれドアが配置され、部屋に繋がっている。研究室はトンネルの終点に設けられており、室内は薄暗い地下の廊下とは一転して、明るい照明に照らされた、白い壁と床に囲まれた清潔のある空間になっていた。室内には実験に必要な機器や器具が整然と配置され、長い実験台や作業台が配置されていいた。これらの台の上には注射器などの実験器具や試験管、ビーカーが乱雑に置かれ、一部には未完成の実験が残されたままの様子が伺えた。壁際に設置された棚には液体が入ったガラス容器が並べられていた。容器の中には透明なものから濃い色まで様々な液体が入っており、容器に貼られたラベルには識別コードや実験の目的が記されていた。しかし、その内容は一般的な知識では理解できないものだった。
奥に進むと、より特殊な実験が行われていたエリアがあった。そこには、実験に使われたと思われる複数のマウスがケージの中に入れられ、飼育されていた。飼育されていたマウスはどれもが従来のものとは大きく異なる、身体に特異な特徴を有していた。マウスはどれも攻撃的になっており、目につくものに対して手当たり次第に攻撃を仕掛けていた。
捜索をしている途中、実験室の一角にある作業スペースを発見する。そこには実験の準備やデータの記録をするためのコンピューターやメモや書類が配置されていた。また、壁にはチャートやグラフが掲示されており、過去の実験結果やデータの分析結果が表示されていた。またデビッド氏が書いたと思われる研究日誌がデスクの上で見つかった。
資料として、その研究日誌の一部を載せる。
【研究日誌】
[██年█月█日] 今日も研究は思うように進まなかった。この未知の物質についての実験は、私たちの予想を裏切り続けている。ポーションの液体に含まれる成分の特定や効果の評価に困難を抱えている。何度も試行錯誤を繰り返してきたが、まったく成果を上げることができず、焦りを感じる。
[██年█月█日] 本日、新たな実験を行ったが、結果は失敗に終わった。被験体の身体への影響が予想外に激しく、制御不能な変化が起こってしまった。筋肉量の急激な増加や脳機能の停止、凶暴化など、予想もしなかった副作用が現れた。この研究のリスクがどれほど大きいのか、改めて考えさせられる結果だった。
[██年█月█日] 朝から昼、昼から夜まで、実験室に閉じこもっている。絶え間ない分析と検証によって、少しずつ理解を深めているつもりだが、未知の物質は私にとってまだまだ謎に包まれている。このポーションの液体が持つ人体への影響や潜在的な治療効果を解明するために、私はもう少し時間をかける必要があるようだ。
[██年█月█日] 研究は追い詰められている。私は成果を上げなければならないという重圧に耐えながら、新たな実験手法を検討している。もしかしたら、過去のアプローチにとらわれすぎているのかもしれない。冷静に考え、研究の方向性を再評価する必要がある。
[██年█月█日] 限られたリソースと時間の中で、私は最後の望みをかけて実験を続けている。もし成功すれば、人々の生活に革命をもたらすだろう。そして、メアリーを元気に歩かせてやることが出来るかもしれない。
[██年█月█日]絶望的な状況に立たされながらも、私は最後の手段を試す決断をした。自分自身を実験体とし、ポーションの成分を解析して新薬品を開発しようと考えている。この危険な行為は、私にとって最後の望みであり、その成功を信じている。
[██年█月█日]驚くべき出来事が起こった。私の開発した新薬品を体に投与した結果、問題となっていた副作用も起こらず、私の運動能力は向上し、病気や障害などが治癒されたのだ。現在まで私の体は通常通り安定しており、これは研究の成功を意味するのか、それとも新たな問題を引き起こすのか、まだわからない。
[██年█月█日]私は絶望感と後悔に包まれながら、自分自身の制御を失いつつある。このままでは、私は危険な存在と化してしまうだろう。私の選択は、(文章はここで途切れている)
地下を捜索中、いくつかある部屋の一つで、行方不明のメアリー・ジョンソン氏が発見された。部屋は物置のようになっており、そこでメアリー氏は気を失った状態で室内に監禁されていた。直ちに少女の身柄を保護し、地下を通り出口を目指していた。その最中、特殊部隊はサラ・ジョンソン氏の証言に出てきた怪物と思われる、見たことのない未知の人型生命体と遭遇する。
その人型生命体は身長2メートル以上ある巨体を持ち、著しく肥大化した筋肉と剥き出しの体組織を持つ異様な外見をしていた。生物はトカゲのように壁や天井を軽快に移動しながら、手に生えた異常に発達している長く鋭い爪を武器として使い、特殊部隊に攻撃を仕掛けてきた。
この未知の人型生命体と特殊部隊との間で戦闘が起こった。
特殊部隊は、少女の安全を確保し、未知の人型生命体の脅威を排除するため、高度な戦術を駆使して生命体と戦闘を繰り広げた。結果、10名の負傷者と6名の死者を出し、脅威の排除に成功した。
その後、死亡した人型生命体の検死解剖が行われ、DNAを検査した結果、この未知の生命体はデビッド・ジョンソン氏であることが判明した。デビッド氏がなぜこのような通常の人体の外観からは大きく逸脱した、異様で怪物的な姿へと変貌を遂げてしまったのか、直ちにその原因の解明が急がれた。
調査を進めると、デビッド氏は██████と呼ばれる研究組機関に所属していたことがわかった。研究機関██████は異次元に関する研究を主に行っており、異次元から持ち込まれた未知の物質やアイテムに関する研究を行っていた。
調査により、デビッド氏は研究機関██████に保存されていたアイテムの一部を盗み出し、あの地下研究室で実験を行っていたことが判明した。盗まれたアイテムは、研究機関██████が異次元で発見した液体の入ったポーションで、そのポーションを人体に投与することで体内の生理的機能を最適化し、身体能力を向上させることができるものだった。具体的には以下のような効果をもたらすことができる。
1. 筋力増強:ポーションに含まれる特定の成分が筋肉の成長や修復を促進し、筋力の増強を図る。これにより、運動能力や体力の向上が行われる。
2. 耐久性向上:ポーションに含まれるエネルギー補給成分や酸素運搬能力を高める成分が、身体の持久力を増加させる。これにより、長時間の運動や激しい身体活動に対する耐性が向上する。
3. 回復促進:ポーションの成分が細胞の修復と再生を促進し、怪我や疲労の回復を迅速化する。これにより、怪我や負荷による身体へのダメージを軽減、効率的なリカバリーを実現する。
4. 精神的な集中力向上:ポーションには神経伝達物質を安定化させる成分が含まれており、集中力や反射神経の向上に寄与する。これにより、高度な運動や複雑な認知タスクの実行能力が向上する。
しかし、このポーションは人間に有益な作用をもたらす一方で、深刻な副作用があることも判明しており、ポーションを投与した後、人体に適性がなかった場合、人体の筋肉量が数十倍も増加し、脳機能が停止、凶暴化する事がわかっている。研究施設で発見された筋肉が著しく肥大化し、凶暴化したマウスがその例である。
デビッド氏は自らの研究でポーションに含まれる成分を使って、副作用の少ないより安全な、新薬を開発しようとしていた。開発後、自ら実験体となり、新薬を投与した。その結果、一度は成功したかに思えたが、実験は失敗、デビッド氏は投与した薬品の影響で人体に変異を起こし、今回の襲撃事件に至ったと考えられている。
デビッド氏はポーションの成分に含まれている人体の能力向上や治療効果に関心を持っていた事がわかっており、彼の研究目的についても明らかとなった。その目的は娘である、メアリー氏と関連があったことが判明した。
メアリー氏は生まれつき足の運動機能の異常があり、車椅子生活を余儀なくされていた。デビッド氏は娘であるメアリー氏を誘拐し、自ら開発した新薬を投与して、それを治療しようとした可能性がある。
本調査において、デビッド氏による、研究所の保管物の盗難とこのポーションの使用に伴う研究やその他の問題点についても、重要な観点とされている。今後は、研究機関██████の内部に関する調査とセキュリティーの強化の徹底と、この未知のポーションの成分に関する解明が進められている。また、デビッド氏の研究していた新薬の具体的な解明が求められている。
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