すこし不思議な雰囲気で始まる今作品。固有名詞などが独特だったりもして、慣れるまでとっつき難さはあるかもしれません。だけど心配は無用。すぐにそれがクセになっちゃいますし。そうですね、ひとまず5話目(「4.『火鼠の間』と少年」)まで読んでみてください。わたしの最推し「うつぼ君」が登場します。そして彼が物語をまろやかに動かし始めてくれて、するっと世界に入り込んで止められなくなっちゃうはず。
『魂音族』と呼ばれる一族がいる。輪廻転生した魂は半身と呼ぶべき魂と対になっており、何度生まれ変わってもその半身と結ばれる。この設定がわたしにぶっ刺さりまくりまして、そして物語の肝になってくるところでもあります。ジャンルは謎たっぷりのミステリーですが、ファンタジーとしても面白い。ラスト付近の謎解きと魂音族のアレコレあのシーンなどは、読みながらそれはもうウキウキワクワクでした。うふふ。
1話から最終話まで、目が離せない物語です。読み終えても2周目したくなっちゃうやつです。事実、しちゃったしね!
まにまに王國という場所がある。その王族は少しばかりかわった「しきたり」があるのだ。
そしてこの物語はその「しきたり」――お見合いに人が集うところから始まっていく。
さて、この集った人々、それぞれになにか思惑があるようで……?
まにまに王國とは何か。
そしてある「族(うから)」にまつわること。
徐々に明かされていくそれらはやがて、今回のお見合いに集った人々の思惑を浮き彫りにする。
それが運命だと定められたときに、人はその運命をどう思うのだろう。
もらえるものはすべて欲しい。この一見強欲にも見える言葉は、あるひとつの答えでもある。
そして、最後にはこの物語のタイトルの意味も知るだろう。
ぜひご一読ください。