詩の俳句

楽しく拝見させていただきました。

俳句は詩だというと、当たり前じゃないかと思われる人もいるだろう。

雪女満月の闇に映りけり

さて、この一句。
雪女、満月、季重なりの句か、満月が季語だろうという人たちは、どんなシーンを思い浮かべるのか気になる一句ではある。
雪女/満月の闇に映りけり
俳句には間合い、小休止のようなものがある。
なければ「雪女満月」と雪女の名前が満月という落語家みたいな雰囲気になってしまう。
「雪女」「満月」の間には、/で示した間がある。

古池や蛙飛び込む水の音
(松尾芭蕉)

「古池」と「蛙飛び込む水の音」の間を「や」という切れ字が間となっていて、蛙が飛び込んだ水着を聞くと、古池が心に浮かんだという有名な一句となっている。
「雪女」と「満月の闇に映りけり」
は雪女の目に何かが映ってしまったという句だと思った。雪女に出会ったら死んでしまうという昔話。
「満月の闇」は黒い瞳のことではないかと考えると、満月=闇という比喩がつながる気がする。
季語/フレーズの型で間をはさんで比喩となる例が松尾芭蕉が見つけた型で、雪女の一句は比喩に比喩が重なっているややこしい句だけども「けり」と言い切っているのも、好ましいと思った。

この間や言葉とのあいだの発想の転換こそが、俳句を詩にしているのだと感じる。