2人で街を目指して
異世界の住人である聖女見習いのミミでも日本茶を飲むと気持ちがほっこりするらしい。
そういや時々テレビでも外国人が日本のお茶を学びたくて来日したという番組を見たことがあるから、日本茶は万国、いや万世界共通なのかもしれない。
気持ちがほっこりしたミミが俺に対して話しかけてくる。
「あのユーイチ様でしたっけ?その、あなたを神の使いとは思えませんが、どうやら悪い人ではなさそうですね」
「やっと分かってくれたか」
「とりあえず、キッコの街までならご一緒してもいいですよ。恩返しの意味も含めて」
「ありがとう!助かったよ!」
俺が精一杯の礼をミミにすると、ミミが笑顔で返答をする。
「お礼を言うのは私の方ですよ、それに聖女として困った方を見過ごすわけにはいきませんからね」
良かった、わずかながらの食べ物を分け与えて。とりあえずそのキッコの街までさえ行ければ、そこでどうにかなるかもしれない。
「あ、そうだ。せめて水だけでも汲んでいきましょうか?」
「そうだな」
ミミの提案に俺も同調して、俺とミミは近くの川まで水を汲みに行く。
ミミは先程俺がお茶を注いだ筒に川の水を汲む。
「この川の水ってどこから流れているか分からないけど、そのまま飲んで大丈夫なのか?」
「ふふふ、大丈夫ですよ」
そう言ってミミは筒に手をかざし、何かをしている。俺にはさっぱり分からんがミミは手をかざすのを止めて俺に何をしたかを説明する。
「今のは私の魔法で、水から病菌を取り除いたんですよ。だから安心して飲めますよ」
「病菌を取り除いた⁉」
「はい、私達聖女……私は見習いですが、怪我や病気の治療の魔法や、病菌そのものを取り除く魔法を習得するんです」
治療だけじゃなくて衛生面も聖女という人達はするんだな。思わずすごく尊敬してしまったぜ。
「ユーイチ様、ユーイチ様の筒にも水を汲むといいですよ、私が病菌を取り除きますから」
「ああ、そうだな」
ミミに促されて俺も自分のペットボトルに川の水を汲む。汲み終えるとミミが先程のように俺のペットボトルに手をかざす。
さっぱり分からんが、ミミにペットボトルを返される。
「もう大丈夫ですよ」
「ああ、ありがとう。ちょっと試しに飲んでみていいか?」
「いいですよ」
ミミを疑う訳じゃないが、自分でも確認をしないと不安がある。そう思いながらこの水を飲むが……何だこれ⁉
美味い!美味いじゃないか!日本のミネラルウォーターみたいだ。すごい!
衛生的にも安全で美味い水が飲めるなんてこの道中いいんじゃないのか?
そう思いながら俺はミミと共にキッコの街を目指す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます