第11話 附:きょとん!

 ところで、途中で「文語詩」というのに触れました。

 賢治がどんな「文語詩」を書いたか、気になる方、いませんか?

 文語詩についてはまた別にいろいろと書いてみたいと思っていますので、ここには、説明抜きで、一作品だけ、紹介しておくことにします。

 まず、七五調のことばの響きを味わってくだされば、と思います。



 巨豚きょとん


 巨豚きょとんヨークシャどうの日に、   金毛きんけとなりてかけ去れば、

 棒をかざして髪ひかり、    追ふや里長りちょうのまなむすめ。


 日本にっぽん里長りちょう森をで、      小手こてをかざしてときを見る、

 ひげむしゃむしゃと物むや、  麻布あさぶも青くけぶるなり。


 日本にほんの国のみつぎとり、    里長りちょうを追ひて出で来たり、

 えりをひらきてはたはたと、  紙のおうぎをひらめかす。


 巨豚きょとんヨークシャ銅の日を、   こまのごとくにかたむきて、

 めぐればくだつ栗の花、      消ゆる里長りちょうのまなむすめ。



 ……こんなのです。

 どうです?


 (終)

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この歌を作ったのは誰? 清瀬 六朗 @r_kiyose

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