14 ファンタジーと見せかけてSF

企画名:ファンタジーと見せかけてSF

概要:https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082625702783

開催期間:2024/8/10〜8/17

最終参加作品数:40


 SFとして着想したんだけど、最後まで読むとSFなんだけど、本当のジャンルはSFなんだけど、でも、読み始めてみるとファンタジーにしか見えないよ? だからジャンルはあえて異世界/現代ファンタジーにしているよ、というような作品を今回は募集してみました。

 最終的に過去最多の40件にご参加いただけました。なお、計上外ですが数件ほど作品自体は面白いのだけれど企画主旨に合わないと判断し削除させていただいております。せっかくご参加の労を取っていただいたのにすみません。


 どのへんがファンタジーでどのへんがSFなのか、その建て付けが様々で面白かったです。また、発想は似ているけれど味付けが全く違っていてそれぞれに魅力があったりと、これまでで一番楽しい読み歩きとなりました。


 異世界ファンタジーというより異星界ファンタジー。

 異世界ファンタジーにSF設定で乱入。

 仮想世界へダイブイン。

 ディストピアという近未来ファンタジー。

 ポストアポカリプスの復興途上文明に混入するファンタジー設定。

 ……などなど。


 あと、人外ヒロインも多かったですね。SFなのでAIなのはよくあることとして、妖精・フクロウ・宝石・ナノボット・宇宙戦艦……バラエティ富みすぎィ! 「ヒロインは石」とか二度見しますがな!


 とにかく読み応えのある作品が多いので、本棚として長く利用できそうです。


 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。


■参加作品リスト(終了時点)

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082625702783?order=published_at#enteredWorks

各作品のキャッチコピー、あらすじ、タグなどはこちらからご覧ください。

――――――――――

凡例

#参加順

作品名/作者名

作品URL

――――――――――

気まぐれに一言感想がついている場合があります。


#2

サクラ🔸イン🔹アナザーワールド/押羽たまこ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891074125

(一言感想)

夢から覚めたと思ったのにまだ夢の中のような曖昧模糊とした怪物に襲われ、謎が謎を呼ぶ不思議な展開。


#3

di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~/月ノ瀬 静流

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881135517

(一言感想)

アジアンな世界観。ヒーロー君のやんちゃ感が良いです。


#4

神の物語/藍条森也

https://kakuyomu.jp/works/16817330648790676085

(一言感想)

和風ファンタジーの雰囲気で始まる物語。骨太な筆致、しっかりと描きこまれて印象的な脇役たち。重々しそうなのに意外と難しい言葉はあまり使われておらず漢字もそこそこ開いているので、ローティーンでも読めそう。というかもし私がその年齢でこの作品に出会っていたら、夢中で読んでいたに違いありません。


#5

Killing Me Softly With His Song/コネ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648268613584

(一言感想)

あらすじとプロローグの内容が全く違うので面食らいますが、本編はあらすじどおりの良質なハイファンタジー。具体的で色彩豊かな表現により、物語世界へ引き込まれます。


#6

パラディ・デ・レーヴス/竜乃 愛者

https://kakuyomu.jp/works/16817330669785388209

(一言感想)

夢から覚めない病が蔓延し、しかもその夢が具現化して人々を脅かす世界で戦う主人公と個性的な仲間たち。表現に省略が多いものの、シ◯ウスやG◯ァンタジーのような勢いのある映像をイメージしながら読むと案外にマッチするのかなと思います。


#7

宇宙人クロニクル~人・地上の物語/あかくりこ

https://kakuyomu.jp/works/16817330667813926199

(一言感想)

王女と勇者の物語、かと思ったら後から登場人物の風貌が描写され、ネコ科獣人たちが生きる異星が舞台であることがわかりました。往年の少女漫画SFの雰囲気が嬉しい。先が気になります。


#8

ファンタジー世界で王子に騙され、追放されたわたしが銀河大戦の最終兵器を拾っちゃいました。 ~廃棄処理された超兵器による、ご主人様救済計画!~/前森コウセイ

https://kakuyomu.jp/works/16817330667177346984

(一言感想)

導入は婚約破棄ものですが、ヒロインを救い出す主人公のネジの弾け飛び具合が凄まじい。やり過ぎ! ステラちゃん! そして百合(たぶん)。暴力描写がちょっと強めなので、アドレナリン高めの紳士向けだと思いました。


#9

異世界で生きる/下東 良雄

https://kakuyomu.jp/works/16818093076716591110

(一言感想)

異世界かと思ったら実は…のどんでん返しの先に、神様よりも恐ろしいのは実に…というショッキングな真相がある短編。佳品。


#10

いせえふ~異世界ファンタジーのはずなのにオレだけジャンルちがうくね?~(仮)/鳶丸

https://kakuyomu.jp/works/16818093078376907731

(一言感想)

異世界転生してチートはなかったけど血反吐を吐く思いで魔力最強へと至ろうか――というところでいきなり路線変更させられた主人公。めげずに新たな無双能力を脳筋で運用するせいでしょっちゅうやらかすものの、んー、#8よりはマイルドな「やり過ぎ」ですかね(何だそれ)。コメディとTUEEEが程よくブレンドされ、気づくとページをめくってしまう楽しい作品。


#11

把握漏れ格下転生者は文明レベルが発展したこの世界を天に落とす/八咫

https://kakuyomu.jp/works/16818093080145745840

(一言感想)

近未来ディストピアに転生した主人公。姿は年端のいかない少年ながら、中身は五十代くらいのベテラン軍人のようなメンタリティ。ストーリーはこれから深まっていくところ、という印象。


#12

機械仕掛けのフェアリー・ハート【完全版】/夢月みつき

https://kakuyomu.jp/works/16817330660192500997

(一言感想)

ちょっとウェスタンな世界観で、妖精を連れたガンマンの少年のお話。と言っても妖精はAI搭載アンドロイドで、アンドロイド用クロロホルムが登場するあたり、高度なテクノロジーが維持されているポストアポカリプス世界なのだなと勝手に感心してみたり。


#13

〈撃鉄聖女(ガンナ・マリア)〉の清き祝福(だんがん)/空烏 有架(カラクロアリカ)

https://kakuyomu.jp/works/16817330669016731105

(一言感想)

わかりやすくてカッコイイ! マグナムを撃つシスターがその衣を脱ぎ捨てると全身サイボーグで、敵へ容赦なく弾丸の雨を降らせます。


#14

思木町6‐17‐4/水草律子

https://kakuyomu.jp/works/16818093072839709978

(一言感想)

とある集合住宅にまつわる、幻想的な物語……といったところでしょうか。


#15

マーダ『森の護り人・ファウナ』-ローダ第零章-/🗡🐺狼駄(ろうだ)@ともあき

https://kakuyomu.jp/works/16818093080624080623

(一言感想)

ローダというシリーズ作品の一つのようです。


#16

道化の世界探索記/黒石廉

https://kakuyomu.jp/works/16817139555998297017

(一言感想)

とある異世界では定期的に大量に転生転移者がやってくるので、適当に受け入れ訓練をして自活できるようにしてやっている。主人公もそんな転移者の一人で、冴えないスキルと地味な仲間とともにどうにか歩みだす、という、都合のよくない系ストーリー。その世界の神話が独創的で謎めいていて、真相が気になります。


#17

月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~ (豪華挿絵付き)/餅餅餅

https://kakuyomu.jp/works/16817139555279795163

(一言感想)

作者様の人気代表作のお遊びスピンオフのようです。


#18

クラウド・トラベラー/多田七究

https://kakuyomu.jp/works/16817139556043035494

(一言感想)

空から落ちてきた少女とともに、空に浮かぶ島々を巡る冒険。飾り気がない手記のような文体で、否定文の使い方が独特。あと歯磨きへのこだわりがすごい。


#19

スタート/Azu Kian

https://kakuyomu.jp/works/16817330669735610441

(一言感想)

こちらも他の作品のスピンオフのようです。


#20

仮想世界のおじさんは英雄を殺す/ナカナカカナ

https://kakuyomu.jp/works/16818023211810148090

(一言感想)

脳に直接干渉して都合の良い夢を見せてくれるマシンの試験運用中に、夢から覚めなくなるという重大な事象が発生。解決のために主人公たちは被験者たちの世界に入り込み…というお話。他人のための異世界だけど、後腐れないからとNPCにオラオラしながら行動を進めるのが可笑しい。


#21

博士と助手と終末と/橘 泉弥

https://kakuyomu.jp/works/16817139555280553956

(一言感想)

4コマ漫画のようにテンポよくわかりやすい作品。何だかんだ言って博士は楽しそうだし、それを見る助手くんも幸せそう。


#22

にじめ、うずめ/田中ざくれろ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892088004

(一言感想)

並行世界の狭間で目覚めたある自我は、問題を解決するために次元と時空を移動し始める。訪れた世界を離脱するシーンの描写が圧巻。妥協のない本格SFという印象です。謎のプライドにかけて読み切らねば、とつい思ってしまいます。


#23

ファンタジー世界で知らないうちに魔改造されていたんだが。〜瀕死の状態から助けられた冒険者はナノボットと共生することに〜/リトルベア・D・スネーク

https://kakuyomu.jp/works/16818093081266618232

(一言感想)

異世界ファンタジーの主人公が瀕死から超技術で人体改造され……という建て付けは#10に類似しますが、こちらは魔力を扱えることと#10で端折られた新しい体を使いこなすまでのプロセスを丁寧に書いているところが異なります。あと主人公がなかなかウダツが上がらない子なので、何とかなるまで見守らなきゃな…と思ったり。


#24

スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-/黒河ハル

https://kakuyomu.jp/works/16817330664568350158

(一言感想)

ボーイミーツ石っころ。道端で蒼い宝石を拾った主人公は突然異世界へ飛ばされ、いきなりドラゴンに襲われる羽目に。宝石は研究者女子のような口調で喋り、自分と似たような宝石を探さねばと言う。そこから長い長い長い冒険が紡がれているようです。


#25

ちょっとウチの家族とかが意味わかんない件について~母は中世騎士道の人で父は失踪中。祖父はバズーカ砲担いでて祖母はVRアイドル。先生は太ももにクナイを隠し持ってて、この私がお姫様だって!?~/卯月二一

https://kakuyomu.jp/works/16818093080823748794

(一言感想)

タイトルがカオス、でも本文は意外と平熱……かと思ったらそこそこジェットコースターでした。序盤は現代ファンタジー。


#26

デイドリーマーズ/貴葵 音々子

https://kakuyomu.jp/works/16817139556547172219

(一言感想)

色覚特性のあるカメラマンと押しかけ弟子女子の凸凹コンビがパリを舞台に何らかの事件に遭遇し…? というお話かな? まだそこまで読めていませんが、主役二人ともだいぶポンコツだなというのはわかりました。ヒーロー君の変態的な味覚に面食らう。


#27

永遠の輪舞/のの(まゆたん@病持ちで返信等おくれます

https://kakuyomu.jp/works/16816452219818682662

(一言感想)

散文詩のような文体が、描かれている世界の悲劇性を緩和しているように思われます。


#28

ルインズエクスプローラー ―冒険者アルと遺跡の少女― /ふくじんづけ

https://kakuyomu.jp/works/16818093076133055486

(一言感想)

魔導銃を武器とするソロ冒険者の主人公は、遺跡でコールドスリーブする古代人の少女に出会う。ゴブリンと多脚砲台が同時に登場する世界観いいぞ。


#29

高遠(kouen)・・・マルチバースよりの使者/138億年から来た人間

https://kakuyomu.jp/works/16818093075504027671

(一言感想)

率直には、大学生にもなって何やってんのとは思うものの、作中の大学とは我々が考えるそれとは全く違う組織なのかもしれません。異星での話ですし。


#30

鉱石の方舟〜ミネラレ・アルカ〜運命の変転は三度まで/青樹春夜(あおきはるや:旧halhal-

https://kakuyomu.jp/works/16817330655103027148

(一言感想)

行方不明の父親を追って異世界に現れた主人公。鉱石の持つ魔力を打ち出す銃を頼りに、父を探して冒険を――というお話のようです。


#31

姫君の影武者/御鏡 鏡

https://kakuyomu.jp/works/16816700425930285626

(一言感想)

現代と同程度か、軍事面ではそれ以上に発展している異世界での物語。こういうの、分類が難しいですね!


#32

世界の中心でXを叫んだトリ/宮野優

https://kakuyomu.jp/works/16818093074074733622

(一言感想)

風刺めいた短編。暗喩の解釈にチャレンジしてみよう!


#33

雷鳴る星の谷間/源公子

https://kakuyomu.jp/works/16817139557133340304

(一言感想)

こちらも風刺を忍ばせつつ、叙述トリックが面白い作品。


#34

虚空の彼方へ/月代零

https://kakuyomu.jp/works/16817330666902422340

(一言感想)

和風ファンタジーの雰囲気。安定した描写で読みやすいです。道中で出会った少女やその連れに振り回される主人公の様子が面白い。


#35

加速する世界を 半分の歩幅で歩いてみなよ/松下真奈

https://kakuyomu.jp/works/16817330664635044754

(一言感想)

タイパの概念に馴染めないヒロインが、時間を伸ばす薬を手に入れて…というお話。時間が跳んだり戻ったりするのでラベンダーの香りがしてきそうと思ったらちょっと想像と違っていて、ヒーロー君が原色モヒカンなのがもっと想定外。のんびり主人公に合わせてお話もゆるっと進みます。


#36

引き出し妖精ノアラ/加賀倉 創作【カガクラ夏のSS祭り】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082958425821

(一言感想)

ナンセンスひとくち話。毎日更新されているようで、作者様の引き出しの方がすごいです。


#37

【リメイク】氷河期ホームレスの異世界転生~俺が失ったすべてを取り戻すまで~/おひとりキャラバン隊

https://kakuyomu.jp/works/16818093082958425821

(一言感想)

異世界は異世界でも、文明がはるかに進んだ世界へ転生。ターゲットはがっつりロスジェネ向け。


#38

金木犀の天使 -Serenade-/江ノ橋あかり

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935690189

(一言感想)

地方都市の中でも、仙台が舞台というのは珍しい気がします(仙台市以外の地名は仮名のようですが)。まだ第一章を読んだところなので時系列が不明ですが、ある天使をめぐる群像劇のようです。


#39

仙理異聞録 - Xianli Chronicles/夜灯見灯夜

https://kakuyomu.jp/works/16818093079283760690

(一言感想)

ディストピア×中華ファンタジー、語り口はハードボイルド寄り。主人公のプロフィールはちょっと#28に似てます。こちらでは八卦銃というアイテムが登場。


#40

Hello! New World!/はちなしまき

https://kakuyomu.jp/works/16818093073414244395

(一言感想)

プロローグだけで長編1本分の濃い内容。ざっくりまとめると「天才科学者カップルだけど彼女が不治の病になったので最終戦争のどさくさでコールドスリープしたら彼女は5人に自己増殖して新世界の神になっていた!?」……という話かな? いや、ハーレムではないですよ。ご安心ください、彼氏も3人に増殖しています(!?)。なお各々クローン的な同じ人間なのでセーフ。それはそれで君たちコギト・エルゴ・スム砲を撃っちゃわないか心配してしまいますが、序盤を読む限りではほのぼのハッピーに話が進むようです。


■所感

 冒頭にも書きましたが、今回の企画は非常に楽しかったです。

 もともと、自分も令嬢ものをネタにSF仕掛けの作品を書いていて同じように作者が「ファンタジーと見せかけてSF」と目論んだ作品を見てみたいな、という動機で企画してみたものです。

 異世界だとばかり思っていたこの世界が実は……、の先に、どんなSF設定を用意するかが作者の皆さんの個性の見せどころで、一つも同じものがなく、様々な発想を楽しませていただきました。

 また、ファンタジーの世界観にSFガジェットを入れ込んだり、あるいはすべてをごった煮にするパンク系の作品も勢いがあって面白く読めました。

 文体も軽快なものから重厚なものまで様々。ハイファンタジーをじっくり読んだのちにSFで回収するなんて、極上の味変ではないですか。結末まで読めていない作品も多いですが、逆に次回の企画まで読めるものがたっぷりあるという幸せ。


 改めて、ご参加いただいた方々にはこの場にて感謝申し上げます。


■主催者参加作品

#1

千の箱庭 〜婚活連敗王子はどうしてもフラグを立てられない〜/宇野六星

https://kakuyomu.jp/works/16817330660424976616

世界の管理者を自称する主人公は、令嬢ものっぽい異世界に降り立ち、脇役のはずの王子のサポートを始めることにする。第一部では一話ごとにその回限りの語り手が登場し、第二部では一話ごとに異なる異世界を訪問する。主人公の正体が真に明かされるのはいつなのか? ――という感じですかね、客観的には。


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