第6話 黒魔術師

黒魔術師。

この言葉を聞いて誰もが恐ろしいと思うだろう。


今から500年前からいたと思われる恐ろしい魔法使い。

彼らは俺たち一般人よりもずっと強力な魔力を持っている。

何が恐ろしいって、恐ろしいのは魔法の強さだけじゃない。


僕ら一般人が使う魔法はがある。

例えば魔法を使う際、人を殺そうと思っても殺せない。

規制がかかるからだ。


けど、彼らはそんな規制なんてない。

普通に人を魔法で殺せる。

過去の殺人事件にはほぼ全て黒魔術師が関わっている。


それから、魔力は命そのものとも言われている。

個人差はあるが、たくさん魔力を使うと疲れてしまうし、人によっては寝てしまうこともあるし、死んでしまうこともある。

生活や仕事で使う魔法なら使っても体力に支障はないのだけれど。

その視点で見れば、魔法というのは危ない。


だからそこでも規制はかかる。

体力の限界が近づくと、魔法を使えなくなる。

体力が復活するまで魔法は使えなくなる。


だが、黒魔術師にはそんなことは関係ない。

規制なんてないから永遠に魔法を使え続ける。


今思えば、規制がなければどうなっていたのだろう。



未だに彼らの目的はわからない。

集団行動ではなく、単独行動を好む。

普段はどこかに隠れている。

全員が集まるアジト、個人で動くアジトもあるけどそれがどこにあるのか全くわからない。



本当に、謎だらけだ。




「それで、何で黒魔術師だと思うの?」


「黒魔術師は証拠を全部隠す習性があるからだ」


「証拠?」


「ああ。過去に黒魔術師が関わったと思われる事件には全て、手がかりや証拠がすべて消えていたんだ」


「でも、だからって黒魔術師とは限らないんじゃ……」


「そうか?俺らには魔法の跡を消せる魔法なんて無いじゃないか」


「……あー……」


魔法の跡を消す魔法なんて俺らには使えない。

存在しない、の言い方の方が正しいか。

黒魔術師は彼らにしか使えない、彼らだけの魔法も存在する。


「一般人がやれば跡も記憶もその場に全部残る。でも、彼らがやれば全部消えてしまうんだ。警察にとってはそこが1番厄介だ」


全部謎になってしまう。

未解決のまま終わってしまうんだ。


「何で、黒魔術師になっちゃったんだろ」


カナがつぶやいた。


「知らんそんなの。考えたってわからないだろ」


「最近の警察学校や警察って、黒魔術師について昔より詳しくやってるんでしょ?」


「そうだな」


黒魔術師関連の事件が増えすぎている。

このままだと黒魔術師がこの世界を支配してしまう。

そんなことが起きないように警察学校では今から10年前から黒魔術師について詳しく習うカリキュラムになっている。

それでもわからないことだらけだ。


「何か、理由があるはず。闇に陥ってしまった理由が」


……闇に、陥った理由、か。


そんなの考えて何になるのだろう。

考えても無駄だ。

彼らは卑怯なやり方で人を傷つけたり、殺めたりした許せない存在なのだから。


「今日は戻る。上に報告するからデータまとめといて」


「はいはい」


これは、長い道のりになりそうだ。


頼むから、みんな生きていてくれ……!!

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闇堕ちマリオネット 陽菜花 @hn0612

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