エピローグ
オロロ巨人王国の辺境に位置するとある森の中に建てられた一軒のログハウス。
数人が住むには十分なほどの広さがある二階建ての建物でその横には小さな家庭菜園と花壇が。
平均よりはやや上程度のそのログハウス。
「アレスぅー!!!」
そんな何の変哲もないそのログハウスに、タレシア王国の頂点に立つ女王、マリア・タレシアが訪れてきた。
「んにゃ?マリア……何の用?」
何の変哲もない
だがしかし、その住人は決して何の変哲もないような人物ではなかった。
アレス・フォーエンス。
かつてはフォーエンス公爵家の暫定当主の座につき、世界を牛耳っているとまで言われた英傑であり、魔王を倒した英雄。
今、世界で最も強い影響力を人気を持ちながらも表舞台からは完全に姿を消した男。
フォーエンス公爵家の当主の座には不正会計の疑いがかけられるもそれが晴れたガイアが再びその座に戻り、次期公爵家の当主の立場としても彼が投獄中にこさえた次男のものとなっており、完全にアレスの居場所はなく、タレシア王国の王宮にも寄り付かないアレスの役職はない。
今や完全にアレスは辺境の地で隠居するものとなっていた。
「私はアレスの正妻……用がなきゃ来ちゃダメなの?」
「ううん。全然そんなことはないよ。来てくれてありがと……とりあえず中に入って」
英雄と女王。
その身が背負う『名』に相応しくはないログハウスへと二人は軽く手をつなぎながら入っていく。
「……誰もいないのね」
「あぁ、うん。そうだね。ラレシアは今、普通に公務に明けてくれるだろうし、お姉ちゃん、キリエ、リーリエ、シャルルの四人は確か数日前にダンジョン攻略を目指して家を出ていったからしばらく帰ってこないんじゃないかな?」
「……やった、二人きりだ」
「ん、そうだね……とりあえずそこに座ってて。今、お茶淹れるから」
「うん、ありがと」
ただ二人しかいないログハウスで。
アレスとマリアは共に笑みを浮かべて雑談を交わし、穏やかな時間を過ごす。
「ところで話は変わるけど、そろそろ王宮の方に戻ってきてね……私のお腹の子もそろそろ大きくなってきてて……私が出産にかかりつけの間、公務を手伝ってもらいたいの」
「うん、もちろんだよ……僕の子でもあるからね。当然、マリアだけには背負わせないよ。元からそろそろ王宮の方に戻る予定だったからね。ふふふ、久しぶりに僕の圧倒的な手腕を見せっちゃおうかなぁー」
「ふふっ、期待しているわ……いつ頃来てくれるかしら?」
「んっ、何なら今日でも良いよ」
「あっ!ほんと!嬉しい!……でも、とりあえず今日はここでゆっくりしたいかな。せっかく休暇も取ってきたし……二人で過ごしたいね」
「そうだね……うん、そうしようか。んじゃ、王宮に戻るのは明日で」
「うん!」
魔王が倒された数年ばかり。
世界には平和な時間が流れているのだった。
あとがき
投稿ミスっていた、ごめん
これにて完結です!!!ここまで長らくお付き合いいただきありがとうございました。
最後に作品のフォローと星、ハートに感想、レビューを頂けると嬉しいです!
それでは皆様方と再び会えることを楽しみにしています……!
ということでみなさま。
自分の作品と再び出会いませんか?新作です。良かったら読んでください。
『悪役貴族に転生した僕は中立国家で安心に暮らしたい~平和に暮らすため、大国から小国へと逃げてきた僕をブラコンで愛の重い姉が追ってくるんだけど……ゲームの主人公を含めた世界各国の英傑を伴って~』
『https://kakuyomu.jp/works/16817330661246005213』
『妖が蠢く現代日本最強の祓魔師はお腹が空いた!妖?呪物?怪物?……よくわからんが全部美味しいぃぃぃぃぃいいいいいい!』
『https://kakuyomu.jp/works/16817330661243387801』
『絶対に働きたくない僕がヤンデレ彼女に養ってもらおうと計画し、適当に心を病ませた女の子たち三人が全員僕のこと大好きなヤンデレとなって貢ごうとしてくる件』
主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います リヒト @ninnjyasuraimu
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