人はいつ死ぬか?人に忘れられたときさ!

 死ぬはずだった人に1週間の猶予をあげて、他人の命を消費して自分を生かすという選択肢を与える。ただし、自分が死ねば、世界から存在そのものが無かったこととなる。そうしたら、その人はどう動くのだろうか?
 その人を動かす要因は様々だろう。『やり残したこと』『追いかけていた夢』『純粋に生への執着』そして、『忘れられる恐怖』。
 だが逆に、自分が死んだとして、自分を愛してくれる人が一人残されたら、その人はどう思うのだろうか?
 きっと、忘れてくれた方が……。
  
           ♢  ♢  ♢  ♢
 
 愛する存在が死にかけている、その人を生かす代わりに、自分は絶対にその人のことを忘れることができない。生かしたはずのその人は、結局すぐに死んでしまった。世界から忘れられて、ただ一人、孤独なままで、愛する人を想い続ける。
 忘れることができれば楽だったかもしれない。その人に縛られることなく、普通の生活に戻れたかもしれない。
 それでも忘れない、忘れたくない。その人が生きた証を、私は守り続ける。
 きっと、覚えていてあげた方が……。

           ♢  ♢  ♢  ♢


……その人は幸せだろうから。愛する君のために――
                       僕は、消えるよ。
                       私は、忘れないよ。

っていうお話し。決して直接結ばれるハッピーエンドではないけれど、それでもこれは、幸せな終わり方なのかもしれない……。

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