【2-11】 少女指揮官と女副長
【第2章 登場人物】
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【世界地図】 航跡の舞台 ブレギア国編
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330667919950277
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コナリイ=オーラムは、帝都のあちこちで紅毛の部下を捕獲してきた。
時には進路を先読みして待ち伏せし、時には潜伏先をあぶりだす――捕獲劇は、少女にとってそれはもう、刺激に満ちたものであった。
七三眼鏡の
何より、レイス陣営において、内通者を得られたことが大きかった。蒼みがかった黒髪の女性副官からもたらされる情報は、適時適切であった。
的確情報の知恵分析のおかげで、潜伏先に先回りして、お店屋さんごっこに興じることも出来た。
コナリイは、ウェイトレスに変身出来たことも嬉しかった。だが、その自分にぎりぎりまで気が付かないセラ=レイス――ダーモットにいたずらする時よりもハラハラ、ドキドキしたものだ。
【2-5】 おにごっこ 上
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でもコナリイ主従だって、空振りすることはある。
セラ=レイスは、根っからのサボり癖を持つ。執務室で大人しく仕事をしている方が
潜伏先もとい、サボる場所もバラエティに富んだ。彼の副官はおろか、少女の傅役でもカバーし切れぬほどに。
空振りに終わったコナリイに、お茶を
副官は美しく隙の無い女性だった。中尉を示す襟元をキチンと締め、蒼みがかった黒髪をキチリとまとめ上げていた。おまけに、灰色の
近寄りにくい空気をまとっている女性副官が、少女はちょっぴり苦手であった。でも、彼女に漂うほのかに甘い香りには、ホッとするのだった。
第1部【プレイバック?⑤】アシイン=ゴウラの小休止
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この日もレイスの行方は分からなかった。
捕物を断念した主従に、トラフはお茶を振る舞う。だが、彼女は表情に乏しく会話は膨らまない。
従うファディも通常運転――口を開くことはなかった。
コナリイも沈黙を余儀なくされる。
「……」
「……」
「……」
室内は、静まり返った。時折、お茶をすする音だけが響く。まるで葬式のようだ。
副官と傅役によって、室温が5℃くらい落ちたように少女は感じる。温かい紅茶がおなかにしみわたる。
何か話題を――先日のイーストコノート大陸では、ヴァーガル河流域で帝国軍がコテンパンにやられたそうね――そんな話を切り出したものだから、いよいよ室内は凍り付く。
コナリイは内心で金色の頭をブンブン振る。
【1-36】 戦いの終わり
https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533/episodes/16817330661152820737
「そ、そろそろ、おいとましようかしら」
はやく帰ろ、と少女はカップをソーサに戻す。
だが、これで3日続けての空振りだ。ほどなくして紅毛の将校の成分(?)を摂取しないと、知的欲求に禁断症状が出てきてしまう。
もう少し待ってみようかな――その時、コナリイは以前耳にしたことをふと思い出した。副官の彼女は、セラ=レイスの幼馴染だということを。
試みに、少年時代の彼について尋ねてみると――。
――カチリ?
という妙な音を少女は知覚した、気がする。
副官のスイッチが入ったようだ。
暇さえあれば寝ていた(いまもだろ)、甘いお菓子が大好き、ごくたまに優しい言葉をかけてくれる、でもお菓子は分けてくれない、珈琲はブラックで飲めない、
――セ、セラ=レイスのお話ばっかりね。
紅毛の将校の少年時代をまとめてぶつけられ、コナリイは水色の大きな瞳をしばたたくばかりだ。
いつ終わるとも知らない副官の昔話に、たまらず少女は
黒髪の青年は、いつものように無表情のまま、いつも以上に硬直していた。でも心なしか、
――また、カチリ?
同じような音を少女は再び知覚した、気がする。
七三眼鏡の青年が漏らした言葉は、かろうじてコナリイは聴き取ることができた。
――ファディッ!?あなた、まさか。
少女の水色の瞳が見開かれた。この日一番大きく。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
ファディの恋心のスイッチオンに驚かれた方、🔖や⭐️評価をお願いいたします
👉👉👉https://kakuyomu.jp/works/16817330657005975533
コナリイたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「コナリイとその部下たち 上」お楽しみに。
「みんな、こわい顔をしてどうしたの?」
同ビル最上階――3階・准将執務室では、可愛らしい主人の前に配下たちがいかつい顔を並べていた。
不満を抱きながらも第一声を発するには戸惑うらしい。
同僚たちのそうした様子を察して、年長者のサミュエル=ライリー大佐が口火を切る。誠に申し上げにくきことですが、と前置きのうえ。
「あの男は、兄君・アルイル公の……東海岸側の人間ですぞ」
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