第6話 喘息

本の虫の手から、血が出てきた。怒りによって出血したようだ。


「私にとってアイスキャンディーは宿敵そのもの。

お前たちはこの委員会に入れない。入れない。入れない。入れない。入れない!!!!!!


しかし、生かして帰らせるわけにも、いかない!いかない!いかない!いかない!!!!!!


わ、私の鬱憤うっぷんがついに晴らされる時が来た!


我らの力を思い知るが良い!」


「ば、番人ズ?」


ハンマードが聞き返す。しかし本の虫は怒りにより、彼の発言を聞いていなかった。


「お前ら、全員、ぶっ○してやる!!!!!!

『エネルギー紙弾』」


彼の顔の本が、ぐるりと回り、ページが開いた。


その顔の前に、紙くずが1人でに集まってきた。


「ろ、ロック、なんかヤバそうだよ」

「俺に言われてもわからんて」


「ロック!俺こんなとこで終わりたくねぇーよ」

「だから俺に言われてもわからんて」


「「ロックーーー!」」

「俺に言われてもわからんて言ってるだろが!!!!!!」


「お前ら、本、バカにすんじゃねーぞ」


本の虫の紙くずがボールのようになった。


その紙くずボールがモコローに向かって放たれた!


「え」


ズバァァァァァァァァァァァァァァァァン


ボールはモコローに直撃したが、彼にダメージは入ってない!


「ハァァァァァァァァァ⁉︎

お、お前ぇ、私のエネルギー紙弾をもろに喰らってなお肉の形を保てているだと⁉︎」


本の虫は絶叫した。


「え、いやだって、ただの紙じゃん」

「黙れ!本は神!つまりあの弾は神だ!

お前は神の攻撃を耐えた!ヤバい!なかなか強いぞ!」


「マジでこの人本が神だと思ってね」

「わんちゃ………いや、マジで思ってそう。

まぁこんくらいなら俺でもやれるぜ」


ハンマードはハンマーを振るう!


「うわ、暴力!やはりゲーマーは暴力振るのか!

悪め!成敗しなくては!」


本の虫は突然消えた。


「⁉︎……」


「ハッハッハッハッハ、私は体色を変えることができる!擬態が上手いのだ」


消えた本の虫はどこかで高笑いした。


「自分からネタバレしていくタイプかよ」


ロックがしらける。


「黙れダンボ!

私の勝ちだ。お前らは神に勝てない。

神は言った。『ブックオフ行って出直して来い』と」


「ブックオフ関係ねぇだろ」


「黙れ読書皆無男どくしょかいむおとこ!」

「あだ名のセンス皆無か」


「あだ名ではない!ニックネームだ!」

「好きにさせておくれよ!」




ハンマードは怒鳴った。


「良いかよく聞け!俺は虫が嫌いだ!特にゴキブリとかはよく○してるよ。

お前を倒すことなんて朝飯後だ!」


「朝飯ちゃんと食べてんのかよ」


「そういや僕朝ご飯食べてないなぁ」

「モコローにとって朝飯はアイスキャンディーだろ……」


「そんなことないよ⁉︎」



「おいくたばれハンマー野郎」


本の虫はハンマードの前に突然現れると、本で彼を叩いた。


「いてぇな!……おい本で叩いて良いのかよ」


「私は教祖だぞ!」

「委員長じゃねーのかよ」


「ロックと言ったなお前。文句ばっか言ってないで私と戦ったらどうだ?」

「俺戦闘は苦手なんだよ……」


「おう、そうか。なら、弱くて本も読まない奴は、とっとと○ね」

「だいぶ暴力的だよ委員長こいつ


本の虫は紙くずをばら撒いた!


「『斬紙乱舞ざんしらんぶ』!この美しさを見よ!

ぱらぱらとばら撒かれるこのたちを!

1枚1枚丁寧に書かれた文章を!絵を!構成を!全て拝め!そして捧げよ!

私はこの活動を支援してますぅぅぅぅ!!!!!!」


「オタクか!」


「お前、ツッコミばっかしてねぇえで戦え」


ハンマードはロックをハンマーでぶん殴った!


「いてぇぇぇぇ!何すんだよ!」


「お前いつからツッコミだと解釈してた!」

「一応これでも前作ツッコミ担当だったんだよ!」


「ふ、2人とも避けて!」


モコローが叫んだ!2人は後ろにジャンプした。


「な、なんだよ」


「本の虫がばら撒いた紙、切れ味が良くて刃物みたい!」

「「は⁉︎⁉︎」」



「よくぞぉ、見破った!

斬紙乱舞は切れ味の良い紙をばら撒く技だ!

お前らは何もできずに終わるのだ!」


紙は柱や床に突き刺さる!3人は柱やソファ、本棚の影に隠れた。


ロックが言った。


「あいつ、精神も能力もヤバいぞ……」

「俺あんなんと戦ってたのか……」


「まぁ委員会なのに宗教じみた事やってるしさ」

「呆れてくるよなぜかは知らんが」


「どこに隠れているぅ!


ゔっ!


ゲホゲホ……薬飲まなきゃ……」



本の虫は棚から薬を取り出すと、丸呑みした。


「ふぅ………ゔゔん。


さぁてと、ゲホゲホ。……戦闘再開…おぇ……ゲホ………。


ゔっゔん!!!!!!……さぁて、今度こそ………ゲホゲホ」


「おいお前大丈夫かよ……」


「私は喘息ぜんそく持ちなのだぁ……(枯れている声)。


ゲホン……良いか良く聞け。お前らを見逃してやるからぁ、ゲホンゲホン、とっとと帰れ。


そして、我々の前に、二度と、現れるなぁ………ゲホゲホ……」

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